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新しいメチル化DNA結合タンパク質を発見

Digital PR Platform / 2024年8月26日 8時30分

研究内容
 研究グループは、アフリカツメガエルの卵抽出液を用いた実験から、CDCA7のZnFドメインが片鎖メチル化DNAに特異的な結合能を持つことを明らかにしました。これまでに、DNAメチル化維持に関与するUHRF1*4のSRAドメインが唯一の片鎖メチル化DNA結合タンパク質として報告されていましたが、CDCA7は第2の片鎖メチル化DNA結合タンパク質であることが明らかになりました。興味深いことに、UHRF1はヌクレオソーム中の片鎖メチル化DNAに結合できませんが、CDCA7はヌクレオソーム中の片鎖メチル化DNAに強固に結合できることがわかり、UHRF1とは異なる結合特性を持つことがわかりました。この認識機構を明らかにするために、片鎖メチル化サイトを持つヌクレオソームとCDCA7の複合体構造をクライオ電子顕微鏡単粒子解析*5で決定しました(図1)。その結果、CDCA7がヌクレオソーム中の片鎖メチル化サイトに結合している様子を捉えることに成功しました。興味深いことに、ICF症候群に関与するCDCA7のアルギニン274は、直接的に片鎖メチル化サイト中の5メチルシトシンの認識に関与し、さらにアルギニン304はDNAのリン酸骨格の認識に関与していました(図1)。実際にアルギニン274をヒスチジンに置換すると片鎖メチル化DNA結合能が消失したことから、ICF症候群で見られるDNA低メチル化はCDCA7の片鎖メチル化DNA結合能の喪失によることが明らかになりました。
 なぜCDCA7の機能喪失がDNA低メチル化につながるのでしょうか? アフリカツメガエルの卵抽出液を用いた実験から、CDCA7はアミノ末端領域のα-ヘリックス*6を使ってHELLSと直接的に結合することがわかりました。さらにCDCA7を欠損させた卵抽出液では、クロマチンへのHELLSの集積が阻害され、その結果ヒストンH3のユビキチン化の効率が減少し、DNMT1のクロマチン局在量も低減することがわかりました。このことから、CDCA7がクロマチン中の片鎖メチル化DNAを認識してHELLSを呼び込み、DNAメチル化を触媒するDNMT1の片鎖メチル化DNAへの局在に重要であることがわかりました。つまり、片鎖メチル化DNAの結合能を失ったCDCA7は、下流で働く維持メチル化因子の正しい局在に異常をきたすので、DNA低メチル化が起こることがわかりました。
 本研究により、ICF症候群の原因遺伝子であるCDCA7が片鎖メチル化DNAを認識することを明らかにし、DNAメチル化維持の制御の新しい分子メカニズムを提唱しました。これまでDNA維持メチルでは、DNAメチル化酵素DNMT1とその呼び込みタンパク質UHRF1が重要な働きをすることが知られていました。UHRF1は複製時に一時的に生じる片鎖メチル化DNAに特異的に結合し、ヒストンH3をユビキチン化します。このユビキチン化H3がDNMT1のDNAメチル化部位局在に不可欠な役割をします。これに加えて新たにヘテロクロマチン領域の維持メチル化では、次のことが起こることがわかりました(図2)。
 1) CDCA7はヌクレオソーム中の片鎖メチル化DNAに結合してHELLSを呼び込む。
 2) HELLSのクロマチンリモデリング活性によって片鎖メチル化サイトがヌクレオソームからずらされて、リンカーDNA上に露出する。
 3) UHRF1がリンカーDNA上の片鎖メチル化サイトに結合しヒストンH3をユビキチン化して、DNMT1をクロマチンに呼び込む。

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