脂肪細胞の発達により乳がんの浸潤・転移が促進されることを解明
Digital PR Platform / 2024年8月27日 11時42分
―― 乳がんを進行させる成熟脂肪細胞の役割 ――
藤田医科大学医学部生化学 下野洋平教授、医学部病理学 浅井直也教授、臨床腫瘍科 河田健司教授らの研究グループは、肥満が乳がんの促進因子であることに着目し、乳腺にある脂肪細胞が乳がん細胞に及ぼす影響を解析しました。この結果、脂肪細胞が十分脂肪を溜め込むほど発達(成熟)すると、乳がんを促進するタンパク質がより多量に分泌されて、乳がん細胞の浸潤や転移が格段に促進されることを明らかにしました。
成熟した脂肪細胞ががんを悪性化させる機構を示した本研究の成果により、今後、肥満ががんの危険因子となる仕組みの解明や、脂肪細胞の分泌因子の働きを抑えることで乳がんの進展を防ぐ全く新しい機構の抗がん治療の開発につながることが期待されます。
本研究成果は、英国の学術ジャーナル「サイエンティフィック・リポーツ」(8月9日号)で発表され、併せてオンライン版も同日に公開されています。
論文URL : https://www.nature.com/articles/s41598-024-69476-3
<研究成果のポイント>
脂肪細胞の発達(成熟)によりがん浸潤が強力に促進されることを世界で初めて発見
脂肪細胞の成熟※1により分泌される免疫分子アディプシン※2および肝細胞増殖因子(HGF)が乳がん細胞の悪性化を促進することを証明
肥満が乳がんを悪性化させる分子機構を示唆
<背 景>
肥満は食道がん、膵臓がん、大腸がん、閉経後乳がん、子宮内膜がん、腎臓がんなど様々ながんの発生や進展の危険因子である。また、乳腺に豊富に存在する脂肪組織は、正常乳腺や乳がんの形成に必須の基盤となるとともに、乳がんの悪性化にも関与していると推測されてきた。研究グループは、乳がん手術検体を用いた解析から、乳腺脂肪細胞が分泌する免疫分子アディプシンががん細胞の増殖やがん幹細胞性※3を促進することを解明してきた(Goto H et al. Oncogene, 2019; Mizuno M et al. Cancers, 2021など)。しかし、乳腺脂肪細胞やその成熟ががん浸潤や転移などを促進する分子機構は不明である。
<研究手法・研究成果>
乳腺脂肪組織から分離培養した乳腺脂肪細胞が乳がん細胞の浸潤能に及ぼす影響を解析した。脂肪滴を十分溜め込むまで発達(成熟)した脂肪細胞は、未発達の脂肪細胞の10倍以上強く乳がん細胞の浸潤を促進した (図1)。
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