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脂肪細胞の発達により乳がんの浸潤・転移が促進されることを解明

Digital PR Platform / 2024年8月27日 11時42分


[画像3]https://digitalpr.jp/simg/2299/93932/600_374_2024082711294966cd3a1dac3be.jpg

図3. アディプシンは乳腺腫瘍周囲の炎症反応、がん細胞浸潤や被膜形成を誘導する。
左:正常(野生型)のマウスに形成された腫瘍では腫瘍と乳腺脂肪組織の境界部に高度の腫瘍被膜形成とともにがん細胞浸潤や炎症反応がみられる。
右:アディプシンを発現しない(KO)マウスでは、これらの所見がほとんど見られなかった。
点線:腫瘍と脂肪組織の境界、白矢印:腫瘍被膜


<今後の展開>
脂肪細胞の成熟が乳がん細胞を一層悪性化させる分子機構を示した本研究は、肥満ががんの悪性化因子となる仕組みとも関連する可能性がある。今後、アディプシンやHGFなど成熟した脂肪細胞が分泌する因子を標的としたがん治療法の開発や、肥満を背景に発生および悪化する乳がん以外の各種のがん(食道がん、膵臓がん、大腸がん、子宮内膜がん、腎臓がんなど)の悪性化メカニズムの解明が進むことが期待される。


<用語解説>
※1 脂肪細胞の成熟:
脂肪組織形成のもととなる幹細胞・前駆細胞は脂肪滴を溜め込んではいないが、これらの細胞が分化する過程では細胞内に多数の脂肪滴を形成する。「脂肪細胞の成熟」は細胞内に多数の脂肪滴を溜め込んで最終分化するまで発達した状態をいう。

※2 アディプシン: 
病原体を排除する自然免疫系で働く補体分子の一員。アディプシンは補体のD因子として補体系の活性化に働く。一方、アディプシンはその反応の副産物である補体C3aを介して、がん細胞の活性化にも働く。

※3 がん幹細胞性:
がん幹細胞は、がん組織に存在する多様ながん細胞をつくる大もととされる細胞である。「がん幹細胞性」はがん幹細胞のみがもつ、がん幹細胞の維持に必須の性質とされる。がん幹細胞は、がん細胞の「親玉」として特に高い腫瘍形成能力や治療抵抗性を持つため、がん幹細胞を標的にできれば、より有効ながん治療が可能になると期待されている。


<文献情報>
●論文タイトル
Adipsin-dependent adipocyte maturation induces cancer cell invasion in breast cancer

●著者
吉田淳平1,2、 林孝典1、 宗綱栄二1、 ベフヌーシュ ハレディアン1、 末石布志子1、 水野真広1、 前田真男1,3、 渡邊崇4、 牛田かおり3、 杉原英志4、今泉和良5、河田健司2、 浅井直也3、 下野洋平1

●所属
1藤田医科大学 医学部 生化学
2藤田医科大学 臨床腫瘍科
3藤田医科大学 病理学
4藤田医科大学 腫瘍医学研究センター
5藤田医科大学 呼吸器内科学

●DOI
10.1038/s41598-024-69476-3


本件に関するお問合わせ先
学校法人 藤田学園 広報部 TEL:0562-93-2868 e-mail:koho-pr@fujita-hu.ac.jp


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