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脂肪細胞の発達により乳がんの浸潤・転移が促進されることを解明

Digital PR Platform / 2024年8月27日 11時42分


[画像1]https://digitalpr.jp/simg/2299/93932/600_298_2024082711294966cd3a1d9ff90.jpg

図1. 未成熟の脂肪細胞(幹細胞・前駆細胞)に比べ成熟した脂肪細胞は10倍以上強力に乳がん細胞(EO771)の浸潤を促進した(緑矢印)。 
左: 実験のイメージ図。脂肪細胞のある区画に向かい浸潤したがん細胞数を測定する。
中: 浸潤したがん細胞(白矢印)、横棒: 50 マイクロメートル相当。
右: 浸潤したがん細胞数の計測。 
WT: 野生型脂肪細胞、KO: アディプシン発現欠損(KO)脂肪細胞

脂肪組織は単なる余剰エネルギーの蓄積場所ではなく、内分泌器官としてさまざまな因子を分泌して食欲や代謝、炎症反応などを制御する。そこで、がん細胞の移動や浸潤の促進にも成熟した脂肪細胞の分泌因子が関わっている可能性を考え、成熟脂肪細胞が分泌する因子111種をスクリーニングした。その結果、免疫分子アディプシン、肝細胞増殖因子(HGF)などが脂肪細胞の成熟に伴い分泌されることが分かった。成熟した脂肪細胞から多量に分泌されるアディプシンは脂肪細胞を自己刺激して、脂肪細胞からのHGFなどの分泌をさらに促進した。このようにして成熟脂肪細胞から分泌されるアディプシンとHGFは協調して強力に乳がん細胞の移動、浸潤を促進した(図2)。


[画像2]https://digitalpr.jp/simg/2299/93932/600_346_2024082711294966cd3a1da5ef2.jpg


図2. 幹細胞・前駆細胞から発達し成熟した脂肪細胞ではアディプシン(CFD)の発現と分泌が急増し、その自己刺激作用により脂肪細胞からの肝細胞増殖因子(HGF)分泌が促進される(左下パネル)。これらの分泌因子が乳がん細胞を刺激してマトリックスメタロプロテアーゼ9(MMP9)やガレクチン7(LGALS7)の発現を誘導し、乳がん細胞の浸潤能を高める(右下パネル)。


これらの成果を踏まえ移植実験をしたところ、アディプシン遺伝子を欠損するノックアウト(KO)マウスでは、乳がんに接する乳腺脂肪組織へのがん細胞浸潤や炎症反応、腫瘍被膜形成が野生型マウスに比べ明らかに抑制されるとともに(図3)、肺への乳がん転移を起こすマウスの数も減少した。その分子機構を解明するために腫瘍組織の遺伝子発現解析や、脂肪細胞とがん細胞の共培養実験を行ったところ、アディプシンを発現する成熟脂肪細胞は、がんの移動、浸潤、転移を促進するマトリックスメタロプロテアーゼ9やガレクチン7のがん細胞での発現を誘導することが分かった(図2)。

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