魚にとっても人にとっても理想的な河川環境づくりへ。地域・行政の協働が鍵を握る<東洋大学SDGs NewsLetter Vol.30>
Digital PR Platform / 2024年8月29日 16時0分
水質汚染や臭気の発生など、河川にまつわる環境問題は日々深刻化しています。生態系の保全はもちろん、河川を利用する人々の安心安全のために何ができるのか。河川保全の研究に取り組む理工学部都市環境デザイン学科 青木 宗之准教授の見解をお聞きしました。
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魚の生息環境を守ってきた魚道。今求められるのは多様性保全の視点
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実験水路に設置した実物大の魚道
──魚道とはどのような目的で設置されるものでしょうか。
魚道は堰やダムなど落差がある場所に設置される構造物で、魚類や甲殻類の遡上・降下を手助けする役割があります。河川や用排水路にはいくつもの落差が見られ、ダムの場合は落差が15m以上になることもあり、特に狭くて窮境な土地が多い日本では山から海までの流れが非常に速くなります。また、水道水を送水するために川を堰き止めるなど、人々の生活を優先したために生まれた段差も多数存在します。皆さんが普段目にする川の段差の多くは、川の流れを緩めたり、生活・工業・農業のために利用したりと、人々の生活によってできたものでしょう。段差があると魚類や甲殻類は下流から上流に上手く移動できず、堰の下流側で鵜などに食べられてしまいます。しかし、魚道があれば河川の縦断的かつ連続的な移動が容易になり、魚が棲みやすい生息環境を守ることができるのです。
もともと魚道は水産価値の高い魚のために設けられることが多く、北海道など北部の地域ではサケ、それ以外の地域ではアユが主な対象でした。しかし、現在は河川環境や生物多様性の保全が重視されるようになり、全ての魚種が利用できる魚道が求められています。これまでのように画一的な構造のものではなく、例えば底魚には地を這って泳ぐという特性に合わせた設計など、「水中の多様性」を考慮した魚道のユニバーサルデザイン化が必要です。
地域と行政の協働が、住民の思いに寄り添う川づくりにつながる
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