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【東芝】小型化と世界最高レベルの精度を両立した物体の動きや姿勢を検出する「慣性センサーモジュール」と、同モジュールを用いた「可搬型ジャイロコンパス」を開発

Digital PR Platform / 2024年9月2日 10時0分

 両社はこれらの技術の詳細を、9月1日~4日にハンガリーで開催される、センサーやMEMSの分野で最も権威のある欧州学会のひとつであるEUROSENSORS XXXVIにて発表します。

開発の背景
 近年、少子高齢化に伴う人手不足などを背景に、社会基盤を維持するために、車の自動運転や、ドローンや移動ロボットなど自律移動するモビリティを活用する流れが加速しています。モビリティの自律移動には自己位置の正確な把握が不可欠です。現在、モビリティの位置測定にはGPSが用いられていますが、GPSは衛星からの電波が届かない水中やビルの谷間などの環境においては位置測定ができなかったり極端に位置測定精度が落ちたりします。また、GPSを補うために使用するカメラについても、急に周囲が明るくなったり暗くなったりすると検出が困難になる課題がありました。
 こうした背景から、位置測定に無線や画像のような外部からの情報を用いず、モビリティの並進方向、回転方向の動きを計測し、その計測値を積算することで位置を推定する慣性センサーを搭載した慣性計測装置による位置推定が注目されています。慣性計測装置はどのような環境変化や条件でも性能を維持する特長がありますが、ドローンなどの小型のモビリティにも搭載できるコンパクトサイズで、ナビゲーショングレードを実現した装置がないのが実態です。慣性計測装置の活用に向け、小型でありながらナビゲーショングレードを満たす高精度な慣性計測装置に対する期待が高まっており、実現には、要求仕様を満たす高精度な小型慣性センサーが求められていました。

本技術の特徴
 そこで東芝は、独自のMEMS技術を用いて、小型でありながらナビゲーショングレードを満たす高精度な慣性センサーモジュールの開発に成功しました(図1)。東芝は以前より慣性センサーの研究開発を進めており、2020年には独自のMEMS技術を用いて、小型のジャイロセンサーモジュールの開発に成功しています(*6)。今般開発した慣性センサーモジュールでは、その技術を活用し、加速度センサーも小型化しています。また、ナビゲーショングレードを実現するにあたり、ジャイロセンサーと加速度センサーに求められる精度は、それぞれ0.01dph以下、1µG以下です。今般東芝が開発したセンサーはいずれもその要求仕様を満たしており、小型モジュールとしては世界最高レベルの精度を達成しました。
 今般開発したジャイロセンサーは、地球の自転の角度を計測できるフーコーの振り子と同じ物理的原理に基づき、物体の角度を直接検出することができる「角度直接検出モード」と、コリオリの力(*7)を利用して物体の角速度を測定する「角速度計測モード」を切り替えて使用できる、拡張型の「角度直接検出型ジャイロ(Rate Integrating Gyroscope: RIG)」を採用しています。また、加速度センサーは、共振周波数(*8)の変化で加速度を計測する「差動共振型加速度センサー(Differential Resonant Accelerometer: DRA)」を採用しています。一般的な慣性センサーは、回転角速度や加速度の入力に比例した錘の動きの変位を元に計測を行いますが、その場合、精度と測定レンジの間に原理的なトレードオフが存在します。一方、今回採用した方式では原理的なトレードオフが存在しないため、測定レンジの影響を受けることなく精度を大幅向上することができました。今般開発した慣性センサーモジュールを慣性計測装置に搭載すれば、GPS等の電波が届かない場所や、暗くてカメラでの対応が困難なトンネルや屋内暗所でも、ドローンや車、移動ロボットなどの小型モビリティが正確に自己の動きや位置を推定することができ、インフラ点検や工場の無人化、完全自動運転の実現に貢献できます。

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