1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. プレスリリース

物質の相転移を用いて、光のトポロジカル相転移を世界で初めて実現 ~オンデマンドに再構成可能な新機能光集積回路につながる新しい光制御の開拓~

Digital PR Platform / 2024年9月6日 15時11分


[画像5]https://digitalpr.jp/simg/2341/94555/550_347_2024090517484766d9706f23f70.png


図5:角度分解反射分光法によるバンド測定実験の結果。GSTの相転移により上下のバンドの明るさが反転し、光トポロジカル相転移が起きていることを示している。

 物質の相転移による光トポロジカル相転移を観測した例はこれまでになく、世界で初めての成果です。元々物質の相転移と光の相転移はこれまで全く別のものと考えられてきましたが、この成果では二つの世界の相転移現象を連携させることに成功したことになり、学術的に新しい分野の創出につながるものと考えられます。また、この結果は、構造作製後にGSTを相転移させればいつでもフォトニック結晶を光トポロジカル絶縁状態またはノーマル状態にできることを示しています。GSTは光パルス照射により双方向に相転移させることができるので、この技術を用いれば任意の場所のフォトニック結晶を光トポロジカル絶縁体に変えたり、また逆に戻したりすることが可能となりますが、これは任意の場所にチャーン数が異なる界面によるトポロジカル光導波路を形成することが可能になることを意味し、図6に示すような再構成可能な光トポロジカル回路の将来的な実現に向けた大きな一歩と言えます。


[画像6]https://digitalpr.jp/simg/2341/94555/550_291_2024090517485066d9707226710.png


図6:光トポロジカル相転移を利用して将来的に実現が期待できる再構成可能な光回路の概念図

4.各研究機関の役割
 この研究において、ハイブリッド構造の作製は主にNTTが行い、理論解析および測定はNTTと東工大の両者で行いました。NTT研究所は高度な半導体微細加工技術を有しており、これまでも世界有数の高品質フォトニック結晶を作製してきましたが、今回はこの高度な技術をハイブリッド構造に適用して独自のナノ構造作製に成功しました。

5.今後の展開
 GSTは光パルスによって相転移が可能であることから、今後光パルスによる光トポロジカル相転移の実現をめざします。また、この光トポロジカル相転移現象を用いて、チャーン数が変化する境界を作り、オンデマンドで再構成可能な光導波路を実現する予定です。またさらに、これらの技術を用いて図6に示した再構成可能な光回路への応用を狙い、最終的にはこのトポロジカルな性質による光の新たな自由度を活用して光による大容量の情報処理に適用し、情報処理基盤の高度化に寄与することをめざしています。光のトポロジカルな性質の研究は世界的にも基礎的な研究段階で未知な部分が少なくないですが、現在も様々な新しい性質が発見されており、今回の成果は、そういった多様な光のトポロジカルな性質を光トポロジカル相転移によって操作できる可能性を示しており、学術的にも応用的にも大きな広がりが期待されます。
 また、今回用いたハイブリッドフォトニック結晶作製技術は、GST以外の物質にも適用可能であることから、様々な機能材料を用いたハイブリッドフォトニック結晶を実現することで、様々な光学応答の制御にも応用できる可能性があります。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください