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パーキンソン病治療薬による意思決定障害に関わる神経メカニズムの解明

Digital PR Platform / 2024年9月6日 10時0分

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<研究手法・研究成果>
同研究グループは、パーキンソン病治療薬であるドパミンアゴニストのなかでも意思決定障害を高頻度に引き起こすことが知られているプラミペキソールに着目しました。プラミペキソールは主にドパミンD3受容体※6を刺激する作用を持つ治療薬です。パーキンソン病モデルマウスの意思決定障害をタッチスクリーン式アイオワギャンブリング課題で評価しました。この課題では、タッチスクリーン上で報酬(イチゴミルク)および罰(フラッシュ点滅光刺激)の量と頻度が異なるパネルの選択率を意思決定能力の指標としました(図2)。その結果、パーキンソン病モデルマウスにプラミペキソールを慢性投与すると、ハイリスク・ハイリターンに設定されたパネルの不利な選択率が増加しました。神経活動の指標であるc-Fos※7タンパク質の発現を解析した結果、プラミペキソールにより線条体の活動低下、淡蒼球外節と視床の活動亢進が認められ、大脳基底核を構成する神経ネットワークである間接路の異常が見つかりました。また、DREADD法※8により淡蒼球外節の活動を人工的に抑制した結果、プラミペキソールによる不利な選択率の増加は改善しました。以上のことから、アイオワギャンブリング課題においてプラミペキソールは意思決定障害を引き起こし、そのメカニズムとして淡蒼球外節の活動亢進が関与していることが明らかになりました(図3)。

[画像2]https://digitalpr.jp/simg/2299/94561/600_225_2024090519122866d9840c2e52d.jpg



<今後の展開>
本研究により、パーキンソン病治療薬による淡蒼球外節の活動亢進が意思決定障害に関わることを明らかにしました。今後、淡蒼球外節を標的とした意思決定障害の新しい予防薬・治療薬の開発が期待されます。また、意思決定障害は統合失調症、自閉スペクトラム症、認知症などでも共通して認められるため、本研究成果は精神・神経疾患の治療においても大きな進展につながることも期待されます。大脳基底核は大脳皮質や視床と協調し、運動、情動、認知機能を制御する3つの神経ネットワークを形成していますが、従来のドパミン補充療法はこれらすべてに影響を及ぼし、副作用を引き起こす可能性があります。一方、淡蒼球外節の神経は大脳基底核を超えた皮質領域などに幅広く投射されるので、意思決定障害に関わるさらなる神経ネットワークを特定することで副作用を防ぎ、より運動症状に特化した治療薬の開発が期待されます。

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