1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. プレスリリース

進行がんでみられる"痩せ"を引き起こす新たな免疫細胞を発見

Digital PR Platform / 2024年9月12日 20時5分

進行がんでみられる"痩せ"を引き起こす新たな免疫細胞を発見



東京薬科大学生命科学部の原田浩徳教授、立命館大学薬学部の林嘉宏教授らの研究チームは、進行がんの病態でしばしばみられる筋萎縮と体重減少の原因となる新たな免疫細胞を発見しました。本研究成果は、2024年9月12日18時(日本時間)に、英国 Nature グループが発行する オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載されます。




ポイント
・ 進行がんの病態で筋萎縮と体重減少を引き起こす免疫細胞(CiM)を発見した。
・ CiMは好中球様の単球で、筋肉を減少させるサイトカイン※1IL36Gを分泌する。
・ CiMが分泌するIL36Gのはたらきを阻害すると、悪液質の発症が抑制された。


概 要
 がん患者さんでみられる"痩せ"は、悪液質(cachexia)と呼ばれ、全身性の炎症に伴う筋肉の減少を特徴とする病態です。ほとんどの進行がん患者さんでみられる悪液質は、がん患者さんの主要な死因のひとつですが、その発症機序の解明は十分には進んでいません。
 本研究グループは、がんの進行とともに通常ではみられない特殊な単球(白血球の一種)が出現しIL36Gというサイトカインを分泌して筋肉を減少させることを、世界ではじめて同定し、Cachexia-inducible Monocyte(CiM)と名づけました。重要なことに、CiMが分泌するIL36Gのはたらきを阻害すると、さまざまな種類の進行がんマウスで悪液質の発症が抑制されることがわかりました。本研究の成果が、がん悪液質に有効な新しい治療法の開発につながることが期待されます。


背 景
 がん悪液質は、「通常の栄養サポートでは完全に回復することができず、進行性の機能障害に至る、骨格筋量の持続的な減少を特徴とする多因子性の症候群」と定義されています。悪液質は、がんの種類を問わず進行がんの患者さんの80%でみられ、治療効果の減弱やQOL低下の要因となり、がん患者さんが亡くなる原因の30%前後を占めます。
 最近のがん研究で、からだを守ってくれるはずの免疫細胞が、がんの発生や進行にかかわっていることが明らかになっています。その中でも、自然免疫細胞とよばれる単球やマクロファージなどは、がんを取り囲む環境(がん微小環境)で特に重要な役割を担っています。がん細胞がこれらの免疫細胞の性質を変化させて、転移しやすい環境を整えたり、がんを攻撃する免疫から逃れる力を獲得したりしていることがわかってきました。一方、がんの進行と密接にかかわる悪液質がおこるメカニズムの解明は十分には進んでいません。がん悪液質がおこるしくみを解き明かし、新たな治療法を開発することは、すべてのがんに共通する課題と言えます。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください