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ビタミンBの吸収・代謝には亜鉛栄養が重要

Digital PR Platform / 2024年9月18日 13時9分

ビタミンBの吸収・代謝には亜鉛栄養が重要

概要
 ビタミンB1(VB1)、B2(VB2)、およびB6(VB6)(以下ビタミンBと表記)は、細胞内で様々な生体反応に関与する重要な必須微量栄養素です。ビタミンBが活性を有するには、リン酸エステルまたはヌクレオチドの形(以下、リン酸エステル体)である必要がありますが、リン酸エステル体のままでは細胞膜を通過できません。そこで、ビタミンBは、膜輸送される前に一旦リン酸エステルが加水分解され、細胞内に取り込まれた後に再びリン酸エステル化されて、体内で利用されます。これまでに、リン酸エステル加水分解過程に亜鉛依存性酵素が関与していることが示唆されていましたが、正確な作用機序は明らかにされていませんでした。今回、神戸大朋 京都大学大学院生命科学研究科准教授、湯浅花 同修士課程学生(研究当時)、西野勝俊 同助教(現:東京工科大学講師)、永尾雅哉 同教授、木戸尊將 東京慈恵会医科大学講師、須賀万智 同教授、福渡努 滋賀県立大学教授らの研究チームは、培養細胞とラットを用いて、ビタミンBのリン酸エステル加水分解に4つの亜鉛依存性酵素が重要な役割を果たすこと、さらに、この加水分解活性が亜鉛栄養状態によって大きく影響されることを明らかにしました。これは、ビタミンB代謝に亜鉛が重要であることを明確に示した成果になります。本研究成果は、2024年9月16日に国際学術誌「The FASEB Journal」にオンライン掲載されます。

1.背景
ビタミンBは水溶性の補酵素であり、さまざまな酵素の補因子として生命維持に不可欠な役割を果たす必須微量栄養素です。例えば、ビタミンB1(VB1)は、ピルビン酸脱水素酵素やα-ケトグルタル酸脱水素酵素などの酵素とともに炭水化物代謝に関与します。ビタミンB2(VB2)はクエン酸回路、脂肪酸酸化、およびホモシステイン代謝に関与するいくつかの酸化還元酵素の補因子として機能しており、また、他のビタミンの代謝にも関与します。ビタミンB6(VB6)はアミノ酸、脂質、炭水化物の代謝を含む細胞代謝過程に関与しており、神経伝達物質の合成や1炭素代謝にとって重要です。このように、ビタミンBはさまざまな生体反応に関わっているため、不足すると健康が損なわれることがよく知られています。細胞内でビタミンBが生理機能を発揮するには、リン酸エステルまたはヌクレオチドといった活性体の形(以下、リン酸エステル体)である必要があり、VB1はチアミン二リン酸(TDP)、VB2はフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、VB6はピリドキサールリン酸(PLP)が主たる活性体となります。一方で、これらのリン酸エステル体が細胞内に取り込まれて利用されるためには、膜輸送される前にリン酸エステルが加水分解される必要があります[TDP→チアミン、FAD→リボフラビン(RF)、PLP→PL(ピリドキサル)]。この過程には亜鉛依存性酵素が関与していることが示唆されていましたが、これまで、その正確な作用機序は明らかにされていませんでした。4.研究プロジェクトについて
 本研究は、文部科学省科学研究費助成事業 新学術領域研究「細胞内生命金属動態を制御するタンパク質メタレーション, JP19H05768」、日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究(B)「亜鉛欠乏が炎症性腸疾患の発症や増悪に関与する仕組みの解明とその予防・治療への戦略, JP19H02883」、基盤研究(B)「メラニン合成に必須となるチロシナーゼファミリーの配位金属識別機構とその生理的意義, JP22H02257」公益財団法人 飯島藤十郎記念食品科学振興財団、公益財団法人コーセーコスメトロジー研究財団、一般財団法人旗影会、公益財団法人ヤクルト・バイオサイエンス研究財団、公益財団法人内藤記念科学振興財団、公益財団法人日本応用酵素協会、一般財団法人杉山産業化学研究所の支援のもとに行なわれました。

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