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カーリング「曲げたいなら『逆側』を磨け」―スウィーピングの不思議を初検証―

Digital PR Platform / 2024年9月25日 20時5分

カーリング「曲げたいなら『逆側』を磨け」―スウィーピングの不思議を初検証―



立教大学(東京都豊島区、総長:西原廉太)理学部の村田次郎教授と園部日向子(経済学部4年次生[当時])・荻原詠理(コミュニティ福祉学部3年次生[当時])を中心とした学生選手・物理学者混成の研究チームは、カーリング競技におけるスウィーピング方法に関して、カーリング石の軌道を変えようとするなら曲げたい向きの「逆側を掃く(磨く)」ことが有効であろうことを測定によって初めて示しました。カーリング石が曲がる現象では、直観に反して回転方向と同じ向きに曲がることが長年の謎として知られており、またスウィーピングに関しても直観と反する向きの曲げ効果があるとも思われています。しかしその信ぴょう性は実ははっきりしておらず、選手を迷わせています。




ブラシを用いて氷上を掃くスウィーピングは、摩擦を軽減することで滑走距離を伸ばすことが期待される、カーリング競技の花形技術です。それに加え、適切なスウィーピングにより軌道の曲がり具合を制御できるとも多くの選手は考え「曲げスウィーピング」が世界中で行われています。しかしその有効性を科学的に検証した有意なデータはこれまでなく、実は効果も半信半疑に受け止められています。曲げスウィーピングの方法としても、「曲げたい向きと同じ側を掃く」「曲げたい向きと逆側を掃く」「前方を斜めに掃く」など互いに全く相容れない流儀に分かれ、オリンピックにおいてさえ確たる根拠なしに様々な自己流のスウィーピングが行われているのが実情です。流儀によっては全く効果がない、あるいは逆効果である可能性すらあり、選手は競技に直結する、この効果と方法に非常に強い関心を持っています。
 
2022年に、それまで世紀の謎であり続けたカーリングの曲がる仕組みを精密測定によって検証した村田教授に対し、本学の学生カーリング選手である園部、荻原はより実践的な課題としてスウィーピングの研究を持ちかけ、他の協力者も集めて混成研究チームを結成し科学的な測定を実現させました。研究チームは、石の発射装置を用いて全部で78回の試行を行い、スウィーピングした場合、しなかった場合に分けて軌跡を計測し、両者の差の有意性を統計的なデータ解析に基づき検証しました。その結果、進行方向に対して左右の片側だけを掃いた場合、逆側への曲がりを生む傾向を期待できることを95%の信頼性で確認することができました。
 
この研究成果はSpringer-Nature社のSports Engineering誌に掲載されました。
 
【論文情報】
・タイトル: Sweeping effects on curling and friction estimation
・著者: Hinako Sonobe, Yamato Aoki, Osuke Miya, Kei Murata, Eri Ogihara, Yasuaki Okawara, Sachi Ozaki, Nishiki Tomizawa, Jiro Murata
・誌名: Sports Engineering 27, 31 (2024)
・URL: https://doi.org/10.1007/s12283-024-00473-5

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