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前立腺がんの有無による腸内細菌の違いを発見 腸内細菌から前立腺がんのリスクを予測する手法の開発等に貢献

Digital PR Platform / 2024年9月26日 20時5分

前立腺がんの有無による腸内細菌の違いを発見 腸内細菌から前立腺がんのリスクを予測する手法の開発等に貢献



近畿大学医学部(大阪府大阪狭山市)医学科6年 若森千怜、同泌尿器科学教室主任教授 藤田和利、同ゲノム生物学教室講師 デベラスコ・マルコを中心とする研究グループは、前立腺がんの有無によって腸内細菌の構成に違いが生じることを発見しました。また、前立腺がんと関連する代謝経路を明らかにし、葉酸やビタミンEなどの腸内細菌由来の代謝産物が前立腺がんを促進している可能性を示しました。本研究により、今後、腸内細菌の解析を元にした前立腺がんのリスク予測や新たな治療法の開発が加速することが期待されます。
本件に関する論文が、令和6年(2024年)8月7日(水)に、前立腺がんに特化した専門学術誌"The Prostate(ザ プロステート)"にオンライン掲載されました。




【本件のポイント】
●前立腺がんの有無で腸内細菌の組成に違いが生じることを確認
●葉酸やビタミンEなど腸内細菌由来の代謝産物が前立腺がんを促進している可能性がある
●マウスを用いた研究が、ヒトでの前立腺がんと腸内細菌の関係解明に有用であることを示唆

【本件の背景】
前立腺がんは、日本でも患者数が増加している男性特有のがんで、発症には加齢やたばこ、食生活などの生活習慣や環境的な要因が影響すると考えられています。近年、こうした原因と同様に腸内細菌も発症に影響することが明らかになってきました。
腸内細菌は、正常な生理機能の維持に複雑に関与しており、さまざまな疾患への影響が示唆されることから、遺伝子解析などを用いた研究が急速に発展しています。先行研究では、腸内細菌が構成する複雑な微生物生態系である「腸内細菌叢」に異常が生じると、前立腺がんの進行に影響が生じることが示唆されています。しかし、実際に腸内細菌叢が前立腺がんの発症や進展とどのように相互作用するかなど、そのメカニズムは明らかになっていません。こうした課題を解明するために、マウスを用いた研究が行われていますが、種を超えた比較検討は未だ十分ではなく、研究成果をヒトに応用するためには、マウスとの類似点や相違点を明らかにする必要があります。

【本件の内容】
研究グループは、前立腺がんのモデルマウスと、前立腺がんが高リスクで発症すると予想されるヒトの糞便から、腸内細菌のDNAを抽出して解析を行いました。その結果、マウスとヒトの両方において、前立腺がんの有無で腸内細菌叢の組成に違いがあることを明らかにしました。また、細菌がもつ特定の遺伝子を解析することで腸内細菌を網羅的に評価し、前立腺がんのマウスとヒトの腸内細菌のうち、約80%が共通していることも見出しました。さらに、葉酸やビタミンEといった腸内細菌由来の物質が、前立腺がんを促進する可能性があることを明らかにしました。
ヒトは腸内細菌の構成に個人差がありますが、モデルマウスを用いることでより均一化された条件でメカニズムを研究することが可能となります。本研究により、モデルマウスを用いた研究は、ヒトでの前立腺がんと腸内細菌叢の関係解明に有用であることが示されたことから、今後、マウスから得られたデータをヒトの研究に応用することで、腸内細菌の解析を元にした前立腺がんのリスク予測や新たな治療法の開発が加速することが期待されます。

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