世界初!キュウリのベゴモウイルス抵抗性遺伝子を特定 世界中で問題となっている農作物のウイルス病被害低減に繋がる成果
Digital PR Platform / 2024年10月3日 20時5分
近畿大学農学部(奈良県奈良市)農業生産科学科准教授 小枝壮太、近畿大学大学院農学研究科農業生産科学専攻博士前期課程2年 山本千尋(研究当時)、同2年 山本浩登(研究当時)らの研究グループは、世界で初めてキュウリのベゴモウイルス※1抵抗性遺伝子を特定しました。
ベゴモウイルスには445もの種類があり、キュウリ、メロン、カボチャ、ズッキーニ、トマト、トウガラシ、ナス、オクラ、マメ類など、多くの農産物がこのウイルスに感染すると果実をほとんど収穫できなくなるため、農業生産において世界的な脅威となっています。本研究成果により、抵抗性を持つ個体を判別する手法も確立できたことから、今後、品種改良によってキュウリ生産におけるウイルス病の被害が軽減できると期待されます。
本研究に関する論文が、令和6年(2024年)10月2日(水)に植物学分野の国際学術誌"BMC Plant Biology(ビーエムシー プラント バイオロジー)"にオンライン掲載されました。
【本件のポイント】
●世界で初めて、キュウリのベゴモウイルス抵抗性遺伝子を特定
●抵抗性を持つ個体を判別できるDNAマーカーを開発し、抵抗性品種の品種改良が可能に
●世界的に問題になっているキュウリのウイルス被害と、過剰農薬投与を防ぐことに貢献
【本件の背景】
農業生産において、ベゴモウイルスが世界中で引き起こしている経済的被害は甚大で、解決が強く求められています。ウイルスの感染は、タバココナジラミとよばれる昆虫により媒介されて広まるため、生産現場では従来殺虫剤の散布によって対策してきました。しかし、過剰な農薬の使用により、現在では農薬が十分に効かないタバココナジラミが世界各地で発生しています。インドで初めて感染が報告されたベゴモウイルス種である「tomato leaf curl New Delhi virus(ToLCNDV)※2」は、インド亜大陸だけでなく、地中海周辺国、中近東、東南アジア、東アジア(中国、台湾などを含む)にも分布を拡大しており、主にキュウリ、メロン、カボチャなどのウリ科作物において被害をもたらしています。
近年、本研究グループを含めたさまざまな先行研究により、トマトやトウガラシなどのナス科作物ではベゴモウイルス抵抗性遺伝子が特定され、ウイルス抵抗性品種の育種に利用されています。しかし、他の植物では抵抗性遺伝子が特定できておらず、特に被害の大きいキュウリなどのウリ科作物では、遺伝子の特定が強く望まれていました。
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