【甲南大学/中部大学】ヒトの頭をつくる組織の「元」をホヤで発見!脊椎動物における頭部の進化の謎解明に期待 ― 研究成果が英国科学雑誌Natureに掲載
Digital PR Platform / 2024年10月24日 14時5分
2.研究成果
今回、日下部教授とLevine教授、大沼研究員、セントルイス大学のLaurence Lemaire博士らは国際共同研究によって、体ができる過程で、胚の個々の細胞でどのような遺伝子がはたらき、どのような細胞に分化するかを詳しく解析し、ホヤ胚のa9.49細胞が、神経堤の性質をもつ、つまり原始神経堤であることを明らかにしました(図3)。この知見は、2012年に発表された説の新たなエビデンスであり、a9.49細胞こそが原始神経堤であることが改めて示されました。
ホヤはヒトを含む脊椎動物と同じ脊索動物*³であることから、脊椎動物とホヤの共通の祖先には原始的な神経堤が存在したと考えられます(図4)。ホヤの神経堤は、脊椎動物の神経堤と同じように、脳と表皮の境界部につくられます。このときにはたらく遺伝子のしくみも、生じる細胞の種類も脊椎動物とホヤで共通であることが分かりました。ホヤの神経堤からはメラニン色素細胞*⁴とグリア細胞*⁵が生じ、さらにこのグリア細胞は、変態後に脳をつくる神経前駆細胞*⁶になることが分かりました(図3)。また、ホヤの原始的な神経堤細胞は、神経堤細胞の特徴である移動する性質も持ち合わせていました。
3.今後の期待
近年、ホヤは体をつくる遺伝子のはたらきや神経のしくみを調べるモデル生物として注目されています。本研究により、これまで以上にホヤが脊椎動物に近い生物であることが分かりました。神経堤細胞は、さまざまな組織に分化する多能性幹細胞*⁷の性質をもつため、再生医療やがん研究の分野でも注目されています。体のつくりが単純なホヤは、発生のしくみや遺伝子のはたらきを調べることが容易であり、神経堤に固有の性質を研究するモデル生物としてホヤを用い、研究が進展することが期待されます。
4.論文情報
・論文タイトル:Neural crest lineage in the proto-vertebrate model Ciona
・著者:Lauren G. Todorov(共同筆頭著者), Kouhei Oonuma(共同筆頭著者), Takehiro G. Kusakabe(共同責任著者), Michael S. Levine(共同責任著者), and Laurence A. Lemaire(共同責任著者)
https://doi.org/10.1038/s41586-024-08111-7
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