子育て世代の育児・家事・労働時間の理想と現実のギャップが明らかになりました
Digital PR Platform / 2024年11月5日 10時0分
―横浜市の結婚・子育て世代への大規模アンケート調査(ハマスタディ)より報告―
横浜市立大学大学院国際マネジメント研究科の原広司准教授らの研究グループは、横浜市在住の結婚・子育て世代1万世帯を対象とした大規模なアンケート調査(ハマスタディ[1])のWave2(2年目の調査)を実施し、調査結果より、生活時間*1の理想と現実のギャップや小児医療費助成の満足度の変化などを明らかにしました。
本調査は、2022~2026年度の5年間に渡る大規模なコホート研究*2であり、横浜市をはじめとした都市型の少子化の要因を家庭と子育ての観点から継続的な調査によって明らかにすることを目的としています。研究成果によって、家庭と子育ての現状の把握とともに、子育てしやすいまち、政策づくりへの提言につなげます。
研究成果のポイント
こども(末子)が0歳のとき、妻の平日の育児時間は理想よりも3時間以上長く、こどもの年齢が上がるにつれて理想と現実のギャップは小さくなるが、小学校入学後に再び増加する傾向がみられ、いわゆる「小1の壁」*3の影響が示唆された。夫はこどもの年齢に関わらず、理想よりも0.5~0.9時間短く、育児時間を確保したくてもできていない状況が明らかになった。
こどもが0歳のとき、妻の平日の労働時間は理想より1.9時間短く、こどもが1歳になっても0.9時間短かかった。夫はこどもの年齢に関係なく理想の労働時間より1.2~1.9時間長く、夫の長時間労働が育児時間の確保を妨げている要因の一つと考えられる。
家事時間では、妻の家事時間は全体的に理想よりも0.5~1.1時間長く、夫の家事時間は理想よりも0.1~0.4時間短い傾向にあった。
小児医療費助成の満足度は、昨年度調査(2023年1月実施)に比べて大幅に上昇した(27.6ポイント増加)。2023年8月に横浜市の小児医療費の無償化*4が実施されたことで、家庭内のこども数に関わらず、幅広い子育て世帯の満足度を押し上げる結果となった。
研究背景
日本では少子化が加速しており、人口はより減少していくことが予想されています。その背景には、経済状況、価値観や社会の変化などのさまざまな要因が存在します。社会の担い手であるこどもが減ることは、社会に対して中長期的に大きな影響を及ぼすことが想定されます。そのため、国や地方自治体は、こどもや親を支える政策、活動を実施しており、特に政府は2023年4月にこども家庭庁を設立するなど少子化対策を加速させています。
しかしながらしかしながら、こうした政策や活動が実際に市民の暮らしや子育てを良くしているのか、こどもが欲しいと思う人がこどもを持つことのできる社会になっているのか、こどもを望まない人も納得のいく社会になっているのか、といったことは十分に検証されていない現状があります。また、単にこどもの数を増やすことだけでなく、夫婦のWell-beingにも着目すべきであり、こうした点はほとんど検証されていません。
そこで、横浜市民の実情を把握し、政策や活動の評価を行い、社会に発信することを目的として2022年度より本研究(ハマスタディ研究)を実施することにしました。ハマスタディとは「家庭と子育てに関するコホート研究」の通称で、”HAMA =‘H’aving ‘A’ Baby, parenting, and ‘MA’rrige life”から名付けました。2023年1月にWave1(1年目の調査)を実施し、報告しました[2]。今回はWave2(2年目の調査)の調査結果を報告します。
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