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多様な組織・個人の連携で包括的なサポートを実現する北欧の福祉社会<東洋大学SDGs NewsLetter Vol.32>

Digital PR Platform / 2024年11月15日 12時0分

多様な組織・個人の連携で包括的なサポートを実現する北欧の福祉社会<東洋大学SDGs NewsLetter Vol.32>

日本では、困難を抱えた方が福祉制度を十分に利用できず大事に至るケースが後を絶ちません。一方でフィンランドは、行政と専門機関とが連携した包括的なサポートにより、問題を早期発見・解決に導く仕組みを構築しています。北欧の事例を交え、今後日本が取り組むべき課題について、国際地域学科の藪長千乃教授がお話しします。

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「子育てする家族を支える」ことを憲法で掲げるフィンランド



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──フィンランドの福祉制度の特徴を教えてください。

フィンランドの福祉制度は、すべての人が福祉の対象になる「普遍主義」を前提として設計されています。また、各種の制度が有機的に連携するように設計されていることも特徴です。児童福祉をみてみましょう。子どもの健やかな成長を保障していくための普遍的で包括的な支援体制が構築されていることがわかります。たとえば、「ネウボラ」ではすべての子どもと親を対象に、妊娠・出産から子育て期まで、原則として同一の助産師や保健師が継続して家族をケアします。定期的な検診や面談などを通して子育ての不安を気軽に相談してもらうことで、家族が問題を抱え込む前に専門機関につなげ、問題の予防や早期解決が可能になるのです。

 また、保育サービスもすべての子どもを対象としています。子育てに難しさを感じている家族に対しては、相談サービス・訪問サービスなどが提供されます。保護が必要な深刻なケースでは、まずは家族と子どもが共に日常生活を送りながら支援を受ける「オープンケア」が実施されます。ファミリーワーカーが家庭を訪問し、家事支援や面談を通して家族と一緒に問題の種を発見し、改善に向かえるように働きかけを行うのです。フィンランドでは、親から子どもを切り離して施設や里親で保護をする代替養育は最終手段です。こうした事例から、どんなケースにおいても子育て支援が切れ目なく続いていることがわかります。この考え方は「子どもの健やかな成長を支えるために、家族を支える責任が国家にある」とする憲法の規定によって支えられているのです。

──日本の福祉制度との違いについてお聞かせください。

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