1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. プレスリリース

多様な組織・個人の連携で包括的なサポートを実現する北欧の福祉社会<東洋大学SDGs NewsLetter Vol.32>

Digital PR Platform / 2024年11月15日 12時0分

日本にも、すべての人を保障の対象とした優れた国民皆保険制度や皆年金制度、さらに介護保険制度もあります。しかし、そのほかの生活上の困難については、問題が深刻化するまでに利用できる支援は整っておらず、制度に切れ目があるのです。日本は高度経済成長期を通じて確立されていった「日本型福祉」という家族の支え合いを重視した考え方の影響を今なお受けています。しかし、働き方や家族の在り方が様変わりした現在においては、多様な生き方に対応すること、そして問題が深刻になる前に対応できるように制度を整備していく必要があります。





[画像3]https://digitalpr.jp/simg/2714/99053/600_450_202411141645086735aa848877c.jpg





ファミリーセンターのロビーの様子

当事者の情報をさまざまな機関が共有し、包括的に支援する体制

──フィンランドの児童福祉の特徴は何でしょうか。

2016年から「子ども家庭サービス改革(LAPE)」を行い、さまざまな困難を抱える子どもや家族のもとに専門家が集まる体制を理念的に構築したことです。各自治体にファミリーセンターを設置し、子どもと家族に関する支援サービスを集約したのです。この制度こそ、子どもと家族が中心にあり、社会はそれを支えるという考え方を体現しています。個人が社会のためにあるのではなく、社会が個人のためにあるという考え方は北欧型福祉国家の理念でもあります。「必要なサポートが提供されるなら喜んで税金を支払う」という政府と市民の間にある信頼関係も大きな特徴です。

──フィンランドの事例から日本が学べることはありますか。

これからの日本は、個人を社会全体で包括的に支援する体制への転換が求められています。それには、社会のさまざまな機関の連携が欠かせません。フィンランドでは、前述のLAPEでの改革にあたって、現場の専門職を登用して古い縦割り文化を一掃することに努めました。また、公務員のプロジェクト採用が進み、官民の垣根が消えつつあります。人員を削減して外部に委託するのではなく、組織自体を変革していくことで、より効果的かつスピード感のあるアプローチを実現できるはずです。

大学の研究成果を政策に反映する環境が整備されているのも特徴です。国家から独立した機関として大学が政策の科学的根拠を提示し、政策提言に向けた重要な機能を担っています。公的機関だけでなく、社会全体が教育・研究に対して協力的です。人口550万人の小さな国家だからこそ、資源を有効に活用し、常に新しいことに取り組む姿勢が浸透しているのです。日本にも取り入れられるポイントは多いでしょう。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください