Butterfly glioblastomaの発生起源の解明~大脳半球発生なのか?~--北里大学
Digital PR Platform / 2024年11月19日 14時5分
北里大学医学部脳神経外科の柴原一陽講師、隈部俊宏教授らの研究グループは、butterfly glioblastomaの発生起源が大脳半球のみならず脳梁からも発生しうることを、自験例と公共データベースを用いた画像解析や分子学的解析で明らかにしました。この研究成果は、2024年10月23日付で、Neuro-Oncology Advancesに掲載されました。
■研究成果のポイント
・Butterfly glioblastomaには大脳半球発生タイプと脳梁発生タイプが存在する
・脳梁発生タイプは予後不良である
・脳梁発生タイプにはMGMTプロモーター領域のメチル化が高頻度に認められる
■研究の背景
膠芽腫 (glioblastoma)は、浸潤能の極めて高い、脳原発悪性腫瘍です。手術・放射線治療・化学療法を用いても、依然として全生存期間中央値は1年半に達していません。その中で、特に予後不良と呼ばれる腫瘍形式にbutterfly glioblastomaが挙げられます。両側大脳半球に広がる形状が「蝶」の様に見えることから命名されました。これまでbutterfly glioblastomaの予後が不良であることや、手術の意義を論じた報告はあるものの、その進展様式や発生起源に注目した報告はありません。世界保健機構の2021年度版脳腫瘍分類のbutterfly glioblastomaに関する記載を見ても"glioblastomas are usually unilateral, but they can cross the corpus callosum and be bilateral"とあり、それを支持する引用文献はありません。即ち、「大脳半球発生の膠芽腫が時として脳梁を介して対側進展する結果butterfly glioblastomaになること」、が疑問の余地のない自明なこととして記載されており、脳梁はあくまでも対側進展するための通り道である、と理解されています。
図1はbutterfly glioblastomaの典型像で、両側前頭葉に腫瘍進展しています。脳腫瘍分類に記載の通り、片側大脳半球に起源を有し脳梁を介して対側進展している、ことに矛盾しません。一方で、図2は大脳半球に腫瘍成分がなく、脳梁に限局しています。即ち、図2の症例は脳腫瘍分類の記載に合致しないことになります。そこで、butterfly glioblastomaは一様な腫瘍ではないのでは、という疑問が生じました。
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