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【名古屋大学】ヘビの怖さはウロコのせい⁉ ~ヘビのウロコを着たイモリは、ヘビと同じかそれより早く見つかる~

Digital PR Platform / 2024年11月20日 20時5分

【名古屋大学】ヘビの怖さはウロコのせい⁉ ~ヘビのウロコを着たイモリは、ヘビと同じかそれより早く見つかる~



名古屋大学大学院情報学研究科の川合 伸幸 教授は、ヘビを脅威と感じるのはウロコのせいであることを明らかにしました。身の安全を守るために、危険や脅威をいち早く察知することは非常に重要です。人間やサルは、“脅威の対象” として、仲間の怒り顔やヘビを素早く見つけることが報告されています。ヘビは、霊長類が地上に出現したときからの捕食者で、ヘビを見たことのないサルや幼児がヘビの写真を早く見つけることなどから、ヘビへの脅威は生得的であると考えられてきました。しかし、ヘビのどのような特徴に脅威を感じるかは不明でした。
本研究では、ヘビを見たことのない3頭のサルが9枚の写真から1枚だけ別の動物(8枚のイモリから1枚のヘビか、その逆)を選ぶ時間を比較したところ、1枚のヘビを見つけるほうが早いという結果が出ました(実験1)。そこでヘビのウロコが重要であることを確かめるために、画像処理でイモリにヘビのウロコを着せた写真で比較したところ、3頭のうち2頭はヘビと同じ時間で、1頭はヘビよりも早くイモリを見つけました(実験2)。このことは、姿勢や身体の形でなく、ヘビのウロコに敏感に反応していることを示しています。
これは、進化の過程で霊長類の祖先が、何百万年も唯一の捕食者であったヘビへの防御策として、ヘビの特徴であるウロコを見つけるように視覚システムを進化させたためだと考えられます。
本研究成果は、2024年11月10日にネイチャー・パブリッシング・グループのオンライン総合科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。




【本研究のポイント】
・人間やサルは脅威の対象を早く見つけることが知られていた。
・ヘビやイモリを知らないサルが、イモリよりヘビを早く見つけることを確かめた。
・もともとウロコがない両生類のイモリに、画像処理でヘビのウロコを貼り付けると、ヘビと同じくらいか、それより早く見つけられた。
・ヘビに脅威と感じるのは、長い身体や尾、クネクネした動きや姿勢のせいでなく、ヘビのウロコのせいであることが判明した。


【研究背景と内容】
WHOによれば、ヘビに噛まれたことを原因に毎年8.1-13.8万人が死亡しています(注1)。人間と寄生虫を除けば、もっとも多くの人の命を奪う生物がヘビです。そのため、ヘビは一番怖い対象として挙げられます。
これまでの研究で、本物のヘビを見たことのないサルがヘビの写真をほかの動物よりも早く見つけることや、生後6-11カ月の赤ちゃんでもヘビの写真に顕著な脳波を示すことが報告されています。ヘビは、霊長類の祖先が地上に出現したときの唯一の捕食者で、それ以降も霊長類や人間の捕食者であり続けました。そのため、人間やサルはヘビに対して敏感に反応する生得的なシステムを進化させたと考えられており(注2)、これまでのサルや幼児、成人を対象とした実験はそれを裏付けています。
しかし、ヘビのどのような特徴に対して敏感に反応する(脅威を感じる)かは不明でした。いくつかの研究は、ヘビのウロコを手がかりにしていることを示唆していました。しかし、それらは統制の取れていない野生のサルを対象にした野外研究や、すでにヘビについて知識のある成人を対象とした実験でした。ヘビを知らないサルを用いた、統制の取れた実験は行われていませんでした。
この研究では、本物のヘビを見たことのない3頭のサルに、9枚の動物写真から1枚だけ別の動物を選ばせる実験を行いました。8枚のイモリから1枚のヘビを選ぶ場合と、8枚のヘビから1枚のイモリを選ぶ場合で、ヘビまたはイモリを選ぶ時間を比較した結果、3頭ともヘビを見つけ出すほうが早いことを確認しました(実験1)。

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