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数理モデルの誤差を細胞内のセンサー分子を使って補正する、 コンピューターと細胞が協力するハイブリッドなバイオプロセス制御システムを開発

Digital PR Platform / 2024年11月21日 17時28分


(図1)提案したハイブリッド制御システムの模式図。生産物(脂肪酸)の収量を最大化するために、
コンピューターは数理モデルを使って最適な誘導剤入力を計画する。大腸菌は、モデル誤差による入力の狂いを、
細胞内の代謝物センサー分子を使ったフィードバック制御により補正する。


<今後の展開>
本研究で実証されたハイブリッドな制御アプローチは、バイオプロセスにおけるさまざまな重要酵素の発現制御に応用可能です。細胞内の代謝物センサー分子を利用した本アプローチは、人工のセンサーや生化学分析を利用して継続的に細胞内のモニタリングをすることが難しい場合に極めて有効です。今後は、複数の酵素の発現を同時に制御したり、光遺伝学法※7を利用した可逆的な入力方法と組み合わせたりすることにより、数理モデルによる制御が持つ利点をより強く引き出すことが期待できます。


<用語解説>
※1 誘導剤:
微生物の特定の遺伝子の発現を促す物質。

※2 (入力)最適化:
入力によって結果が変わる何らかの現象に対して、数理モデルを使って、最も好ましい結果をもたらす入力を見つける手法。

※3 (細胞の)数理モデル:
細胞の増殖や死滅、細胞内のタンパク質の発現や化学反応の速さを数式で表すことで、コンピューター上で細胞数や細胞内外の物質濃度の時間変化を再現(シミュレート)できるようにしたもの。

※4 人工遺伝子回路:
さまざまな生物から得られた遺伝子を、ある機能を発揮するように組み合わせたもの。

※5 フィードバック制御:
制御方式の一種で、出力を入力側に送り返して適切な値になるように出力を制御するもの。

※6 脂肪酸:
炭素、水素、酸素で構成された分子で、脂質を構成する成分のひとつ。工業的に幅広く利用されており、塗料用樹脂原料や粉石鹸原料、樹脂原料、各種誘導体等の原料として使用されている。

※7 光遺伝学法:
光によって活性化されるタンパク分子を細胞に発現させ、その機能を光で操作する技術。


<文献情報>
●論文タイトル
A hybrid in silico/in‑cell controller that handles process‑model mismatches using intracellular biosensing

●著者
大久保智樹1, 作村諭一1,2, Fuzhong Zhang3, 国田勝行1,4

●所属
1. 奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 バイオサイエンス領域
2. 奈良先端科学技術大学院大学 データ駆動型サイエンス創造センター
3. Department of Energy, Environmental and Chemical Engineering, Washington University in St. Louis
4. 藤田医科大学 医学部 情報生命科学

●DOI
10.1038/s41598-024-76029-1



本件に関するお問合わせ先
学校法人 藤田学園 広報部 TEL:0562-93-2868 e-mail:koho-pr@fujita-hu.ac.jp


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