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「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」富野由悠季監督&出渕裕が濃密トーク! 日本の漫画界、宮﨑駿監督のオスカー受賞にも言及

映画.com / 2024年3月17日 21時33分

 その主張に富野監督は驚きながらも「そんな指摘は初めて聞いたけども正しいね」と同調し、「ラストシーンで、シャアとアムロのセリフを作っている時に、実を言うとその(出渕氏の)感覚があったっていうのを思い出した。なんか気持ち悪いな。本当はこういう風に作りたくないんだけれども、もう時間切れたからしょうがなくて……というのが本当のところです」と心情を明かす。

 さらに出渕氏が「最初のシャアって、かっこいい敵の悪役みたいなオブラートに包まれてるので、みんなそれに騙されてるんです」と述べると、富野監督が「あのファッションがいけないよね。それは認める」とコメントし、会場の笑いを誘う。

 出渕氏の鋭い指摘は止まらず、「富野さんは『Z』の時のクアトロはどっちかというといい人、主人公を導くような設定で作っちゃったんですよ。『逆シャア』を見るとわかるのですが、『Z』がないことにしてるみたいなところがある。とはいえ歴史として(過去の)作品はあるから、昔戦った仲間やハマーン(・カーン)のことも一言だけ触れたりするけど、富野さんの、もうこれには触れたくないなぁっていうようなのを感じる。ニュータイプにしてもファーストガンダムの中では綺麗にまとまっている。人の革新が、その後どうなるだろうという余韻で終わっている。余韻だから美しいのに、続編を作るとなると、それを説明しなきゃいけなくなっちゃって困っちゃってるよう。だから『逆シャア』でもニュータイプにそんなに触れてないんですよね。僕の偏見かもしれないけど、富野さんが『逆シャア』でやりたかったのは生っぽい人間。最後もスピリチュアルかオカルト展開だけども、これには一応理屈はつけたよっていうような方便を見せてるだけ」と解説。

 富野監督は「方便を見せてるだけじゃなくて、まさに方便です」と認め、「そういうふうにしないと繋がらないんだろうなっていうプレッシャーがあったんです。それは本当に自覚してます。だから『サイコフレーム』のカットを書いてる時も、困ったな、本当はこういう意味は出したくないんだよねって。その辺のことを今思い出しました。今の出渕君の『逆シャア』の解説はすべて正しいです。否定するところは一切なく、コンテを切ってる時の違和感を全部思い出させてくれて、正直びっくりしてます」と出渕氏の見解に驚きを隠せない様子だった。

 次に出渕氏は富野監督の編集について言及し、「コンテや編集がいいんですよ。みんなあまり指摘しないんですけど、キャラクターが喋ってる途中で次にセリフがあるだろうなっていうところの頭を残して切る。あれで、不思議なリズムが出るんです」と褒めると、「それに関して言うとね、『富野の編集下手だよね』ってクソミソに言う、庵野(秀明)っていう奴がいた!」と立ち上がる富野監督。出渕氏は「でも庵野『逆シャア』大好きだからね。僕も最初に『逆シャア』見たときにちょっと違和感があったんです。でも、その後見返したら、これ面白い…って。要するに一回目じゃわかんないことがたくさんある」「富野さんって親切設計してないんです。説明するところも全部ダイアログのやりとりの中で込めてるんです。段取らなくて済むんです」とフォローする。

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