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劇場映画と動画配信が共存する方法は? 「ロードハウス 孤独の街」「デューン 砂の惑星 PART2」を事例に読み解く【ハリウッドコラムvol.351】

映画.com / 2024年4月10日 16時0分

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「デューン 砂の惑星 PART2」 (C)2023 Legendary and Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

 ゴールデングローブ賞を運営するゴールデングローブ協会に所属する、米ロサンゼルス在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリストの小西未来氏が、ハリウッドの最新情報をお届けします。

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 はるか昔のことのように感じられるけれど、コロナ禍においてアメリカで映画館文化が絶滅する可能性が真剣に論じられたことがある。感染予防のために劇場閉鎖が長期に及んだことに加えて、動画配信サービスがコンテンツをますます拡充させていたためだ。幸い、映画館は持ちこたえたものの、いまだ完全回復からはほど遠い。「トップガン マーヴェリック」という救世主が現れたかと思えば、期待の超大作が相次いで不発に終わり、業績がぱっとしない企業の株価のような状態が続いている。

 ただ、小康状態を数年経たいま、映画館と動画配信が共存する道が見えたと個人的には思っている。教材となるのは、いずれも2024年3月に封切られた「ロードハウス 孤独の街」と「デューン 砂の惑星 PART2」だ。

 「ロードハウス 孤独の街」は、1989年のパトリック・スウェイジ主演のカルト映画のリメイクで、酒場の用心棒を主人公にしたアクション映画だ。リメイク版はジェイク・ギレンホールが主演、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」「ボーン・アイデンティティー」のダグ・リーマン監督がメガホンを取っている。

 本作は以前からアマゾンのオリジナル映画として3月21日にPrime Videoで世界配信されることが決まっていた。だが、今年1月にリーマン監督はアマゾンに劇場公開を求める意見書を米Deadlineに寄稿。要点をまとめると、本作はもともとMGMの劇場映画として企画されたものであり、2022年にアマゾンがMGMを買収したことによって状況が悪化。アマゾンは本作を配信のみとすることで、劇場文化やクリエイターたちの努力や正当な対価を受け取る権利を踏みにじっているというものだ。その抗議として、3月のサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)でのワールドプレミアを欠席すると宣言している。

 リーマン監督の言い分を読む限り、先の米脚本家組合と米俳優組合のダブルストライキと同じ、強欲な動画配信会社と搾取されるクリエイターたち、というお馴染みの構図が浮かび上がる。

 だが、あいにく現実はリーマン監督の主張とは異なる。ジェイク・ギレンホールらによると、本作品にゴーサインを出すにあたり、アマゾンは劇場公開なら6000万ドル、Prime Video独占なら7500万ドルという製作費を提示した。そして、ギレンホールら主要人物(もちろんリーマン監督を含む)は後者を選択したというのだ。

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