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劇場映画と動画配信が共存する方法は? 「ロードハウス 孤独の街」「デューン 砂の惑星 PART2」を事例に読み解く【ハリウッドコラムvol.351】

映画.com / 2024年4月10日 16時0分

 つまり、アマゾンが劇場公開用に作った作品を強引に動画配信に変更したわけではないのだ。リーマン監督は劇場公開に思い入れがあり、良い作品に仕上げさえすれば、アマゾンは劇場公開に切り換えてくれると思い込んでいたようだ。なお、その後、リーマン監督は事実関係を問いただされ、SXSWに出席している。

 もうひとつの教材は「デューン 砂の惑星 PART2」だ。劇場のみで公開された本作は、すでに北米興収2億6500万ドル(世界総興収は6億6500万ドル)を突破している。前作は北米ではHBO Max(現Max)で同時配信されたため北米興収は1億1000万ドルにも満たなかったが、すでに倍以上の成果をあげている。前作のハイブリッド上映が誤りであったことを証明している。

 さらに興味深いデータがある。「デューン 砂の惑星 PART2」の北米のオープニング成績は9700万ドルだったが、その48%はIMAXなどのプレミアム・ラージ・フォーマット(PLF)上映からだった。実際、オープニング成績におけるIMAX上映館からの興収は1850万ドルもあった。通常スクリーンと比べてIMAX館ははるかに少ないから、チケット代が高価であることを差し引いても、驚異的な数字だ。

 ぼく自身、同作のIMAX上映の人気がすごすぎてチケットがしばらく確保できなかったほどだ(ちなみに先日、IMAXの70ミリフィルム上映を観賞した)。

 ハリウッドの映画興行成績にムラがあるなかで、「デューン 砂の惑星 PART2」が気を吐いているのは、一言で言えば、自宅では味わえないプレミアムな体験を与えてくれるためだ。壮大で独創的な物語世界を、前作でもアカデミー賞を受賞した超一流のスタッフたちが時間とお金をたっぷり注いで丁寧に作り上げている。ドゥニ・ビルヌーブ監督のストーリーテリング術もこれまで以上に研ぎ澄まされている。

 インフレでチケット代からガソリン代、駐車代、ポップコーン代も高騰しているが、このような作品だったら、映画ファンは出費を惜しまない。それどころか、最高の映画体験のためにPLF上映を選択する。これは昨年IAMXでもロングラン上映された「オッペンハイマー」が大ヒットした理由の説明にもなる。

 それに引き替え、ダグ・リーマン監督の「ロードハウス 孤独の街」はそこまでの価値を提供しない。決してつまらない作品ではないし、演技も映像も素晴らしい。でも、オリジナル同様、中身がスカスカだ。以前ならある程度は観客を呼び込めただろうが、動画配信に映像コンテンツが溢れているいま、わざわざ時間とコストを払う価値はない。動画配信や飛行機上映で楽しむのにぴったりの作品で、アマゾンは正しい選択をしたと思う。

 2013年、スティーブン・スピルバーグとジョージ・ルーカスは南カリフォルニア大学映画学部で行われたパネルディスカッションで、ハリウッドの未来についてあれこれ語っていた。そのなかで、ルーカスは以下のように述べていた。

「超大作が巨大スクリーンで上映され、料金も跳ね上がる。ほかのすべての作品はすべて小さなスクリーンで視聴されることになる」

 彼らが10年以上前に予言していた未来がすでに到来しているのだ。

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