江口のりこ&中条あやみが「かなわんわ」と脱帽した理由 笑福亭鶴瓶の凄味【「あまろっく」インタビュー】
映画.com / 2024年4月19日 18時0分
江口「ええなあ。私は普段から関西弁をしゃべりますが、芝居の中で関西弁のセリフを話す機会は多くないんです。やりやすさとともに、やりやすいからこそ自分が役を忘れてリラックスしてしまう危険な部分もあって、良い部分と悪い分、両面ありましたね」
三者三様の会話のリズムがありながらも、関西弁という共通言語が繰り出すテンポは小気味よくさえある。鶴瓶は、撮影を通して江口と中条の最大の強味をどこだと解釈したのだろうか。
鶴瓶「ふたりとも、すごく自分に忠実ですよね。それが自然さを引き出している。決して自然にやろうと思っていないんです、ふたりとも。もちろん作らないといけない芝居もあるんですよ。でも、そうではない部分が多いからこそ、この作品にはぴったりでしたよ」
一方、江口と中条は酸いも甘いも噛み分けてきた百戦錬磨の鶴瓶と対峙してみて、「かなわんな」と思わせられた局面について聞いてみた。
鶴瓶「あかんあかん。そんなん聞いたら……」
江口「今回一番驚いたのは、鶴瓶さんはセリフを現場で覚えるわけです」
鶴瓶「げほげほっ。やめろ……」
江口「段取りをやって、テストを経て本番……という流れの中で作っていくのですが、その中でセリフが抜けることもあるんです。ただ、出来上がったものを観ると、一番そこにいる人に見えるわけです。そこに驚かされました。誰にでも出来ることではないし、鶴瓶さんという人が持つ誰にも分からない秘密の部分なんでしょうね」
中条「江口さんがおっしゃる通り、セリフが全然入っていないんですが、本番でパッと出てくるんです。しかも、色々な人のことを見ている。撮影中にお昼寝しているなと思ったら、パッと助監督さんの話に加わったり、さっきまで下ネタ言っていたのに、人混みで自転車が通れないのを見つけると声をかけて通してあげたり……。細部にいたるまで神経が行き届いていて、嫌味がなくサラッと出来るのもすごいんです」
鶴瓶「やめろ……。なんかお通夜に来た子たちみたいやんか。あの人、ええ人やったな……みたいな(笑)。昔からそういう覚え方しか出来ないんです」
江口「落語はそうはいかないですよね?」
鶴瓶「昨日も家に帰ったら、ふと落語の言葉が出てこないことに気づいたんで、夜中に稽古したんですわ。年齢のせいにはしたくない。絶えず追われていて、ずっと自転車操業なんですよ」
さて、本編中で鶴瓶扮する竜太郎が「座右の銘」を披露しているが、表現者としての3人にとっての「座右の銘」はどのようなものなのだろうか。
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