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不快でも笑う? 「NO」とは言えない? 最狂作「胸騒ぎ」タフドルップ監督が注目したのは“人間の振る舞い”

映画.com / 2024年5月10日 13時0分

 対して日本や韓国のホラーは、ジャンルをクリエイティブな形でしっかりと練り上げている印象があります。アジア、東南アジア、ヨーロッパ系でいえば、「ローズマリーの赤ちゃん」のロマン・ポランスキー。どんなホラー映画が好きかと考えた時に、思いついたのはその辺りですね。

 何故そう思ったのかといえば、共感を得られるからなんです。サスペンスという要素を、時間をかけて積み上げている。最初からジャンプスケアがあるようなタイプではなく、恐ろしいことが起こっているのはわかるけれども、それがどんな形で可視化されるのかわからない。つまり、サスペンスが積み上がっていくようなイメージです。キャラクター造形もリアルだからこそ共感できる。そして、第三幕に入った時、一気にクレイジーになっていく。それが自分の好きな形でもあるので、本作でもそうしたいなと思っていました。

 ですので、観客目線で見るホラー映画は、前半の方が好きなんです。サスペンスが積み上げられていくところ。何が起きるのかわからない。でも、そういう映画は、最後の方に説明的になったり、私からすれば、つまらない終わり方をする作品が多い。ですので、今回はなるべくサスペンスを引き延ばすということを意識しました。表向きには派手なドラマが起きているわけではなくても、小さなさざ波のようなものが水面上にたくさん生じている。そういうことが常に感じられるように意識していましたね。

 最近のアメリカのホラー映画の傾向としては、ホラーという形でありながら、風刺、ユーモア、社会への問題提起がある作品が増えてきていると思います。今回の作品でも、それをやりたいと思いました。ただし、重視していたのは、現代社会における“人間の振る舞い”についてでした。

●嫌な“おもてなし”をするオランダ人の夫妻、演じたのは“リアル夫妻”だった

 ――パトリック役のフェジャ・ファン・フェットさんと、カリン役のカリーナ・スムルダースさんは実際の夫婦なんですよね。キャスティングの経緯、秘話などがありましたら教えてください。

 彼らは本当に素晴らしい役者でしたし、最初にオーディションに来てくれた2人でもありました。私はデンマーク人ですし、オランダのキャストのことをまったく知らない状態でした。

 アムステルダムでキャスティングを行ったんですが、面白いことが起こったんです。あるオランダ人の俳優さんは「エンディングを書きかえてくれるのであればやりたい」と言ってきたんです。デリケートな部分もありますしね。でも、2人は「そういうことも含めて是非やりたい」と申し出てくれました。物議を醸すシーンへの不安もあったと思いますが「社会的な風刺としてやりたい」という意図を伝えると納得してくれました。ちなみに、2人はオランダではよく知られている経験値の高い役者です。

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