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恋愛においてはよくいるタイプのダメ男だったジョン・レノン 母親の代わりを求める未成熟な男の矛盾【二村ヒトシコラム】

映画.com / 2024年5月18日 16時0分

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(C)2021 Lost Weekend, LLC All Rights Reserved

 作家でAV監督の二村ヒトシさんが、恋愛、セックスを描く映画を読み解くコラムです。今回はビートルズのジョン・レノンと妻オノ・ヨーコが別居していたプライベートな日々の真相を追ったドキュメンタリー「ジョン・レノン 失われた週末」。ジョンが1973年秋から75年初頭にかけての18カ月間共に過ごしたのは、夫妻の個人秘書を務めていた中国系アメリカ人メイ・パン。“失われた週末”という呼び名とは裏腹に、ビートルズ解散以降のソロキャリアのなかで最も多作で商業的にも成功した時期を過ごしたジョンの恋愛を二村さん独自の視点で分析します。

▼偉大なジョン・レノン、恋愛においてはよくいるタイプのダメ男だった

 僕はビートルズマニアでもジョン・レノンマニアでもないんです。ジョンという人が詩人として、作曲家として、人前で楽器をかなでて歌を歌う人としてとんでもなく偉大だった(ほんと『イマジン』は今こそ聴かれるべき、歌われるべき歌だと思います)のは知ってますけど、彼のことを神格化してはいないので、この映画「ジョン・レノン 失われた週末」を観てショック受けたってことはないし、もしかしたらオノ・ヨーコさんのことを嫌いなビートルズファンだったら「メイちゃん、よくぞ言ってくれた!」みたいな感動があるのかもしれないけど、それもなかった。じゃあ何を思ったかというと「なるほどね、まあ想定内だけどレノンさんって恋愛においては、よくいるタイプのダメ男だったんですね」という感想ですね。

 あと、これはこの映画を作った人々にとってあんまり具合のよい感想ではないかもしれないんだけど、この映画を観てて「失われた週末とよばれる1年と半年のあいだだけ、いかにジョン・レノンが私と愛しあっていたか」を一方的に語るメイ・パンさんにだんだん腹が立ってきちゃった。恋愛関係がでてくるドキュメンタリー映画で、当事者に〈饒舌に語らせる〉っていうの、むずかしいことですね。彼女の話をとおして(あくまでも僕の感想にすぎず、メイさん本人はそういうふうには内省してませんから大きなお世話なのですが)ジョン&メイの関係が、ひどい共依存だったように感じられたのです。

▼この映画はまさにメイ・パンに存分に語ってもらうために作られた映画

 しかし、この映画はまさにメイさんに存分に語ってもらうために作られた映画なのだし、一方的だと感じたのは僕がジョン・レノンについての知識が浅くてメイさんの存在を知らなかったからでしょう。こんな映画が作られたってことはメイさんは今までずっと立場的にワリをくってきた人なんだろうなと想像はつくし、このままなんとなく彼女に腹を立てたままではいくらなんでもこの映画を紹介するコラムとしてまずいので感情を中和しようと思って配信で「イマジン ジョン・レノン」というジョン ・レノンの幼少期から死までを駆け足で描いた昔のドキュメンタリー映画(メイさんもちょっとだけ出てきました)も観ました。

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