ビッグフット一家の生活を描いた“最も奇怪な映画” ジェシー・アイゼンバーグが製作秘話を語る【NY発コラム】
映画.com / 2024年5月29日 10時0分
(C)Bleecker Street
ニューヨークで注目されている映画とは? 現地在住のライター・細木信宏が、スタッフやキャストのインタビュー、イベント取材を通じて、日本未公開作品や良質な独立系映画を紹介していきます。
今年のサンダンス映画祭やサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)で披露され、“最も奇怪な映画”として話題となった作品がある。
それが「Sasquatch Sunset(原題)」。
「Sasquatch(サスカッチ)」とは、未確認生物の「ビッグフット」のこと。本作は、そんなビッグフット一家の生活をとらえた作品となっている。ジェシー・アイゼンバーグ(「ソーシャル・ネットワーク」など)やライリー・キーオ(エルヴィス・プレスリーの孫で女優)らが出演しているものの、“毛むくじゃらのビッグフット”というビジュアルなので、彼らが演じていることさえもわからない。「ミッドサマー」のアリ・アスター監督が製作総指揮を務めているというのも注目ポイントだ。
今回、主演を務めたアイゼンバーグが謎めいた本作の舞台裏について語ってくれた。
アイゼンバーグは主演だけでなく、プロデューサーも兼ねている。
「(製作費は)スペインのとある金融業者から資金提供を受けたんだ。もちろん、合法的な資金源だよ(笑)。ところが製作開始の2カ月前に、その資金提供が頓挫してしまった。そんな時、僕は『こんな映画は人生でまだやったことがない』と思ったし、今作はとても独創的で純粋なものだったので“作らなければならない”と思ったんだ。ちっぽけな映画だし、演じることのスリルは、その時はあまり考えてもいなかった。ただ、この作品を作るためにできることは何でもしようと思ったんだ。(最近の)他の映画はひどいものばかりだからね」
サスカッチを演じるために、俳優陣でブートキャンプを行ったそう。どのような事を行ったのだろうか?
「キャストとして最初にしたのは、お互いにZoomで交流することだった。僕は過去に、パントマイムの神様、マルセル・マルソーを演じた映画(『沈黙のレジスタンス ユダヤ孤児を救った芸術家』)を撮ったことがあった。その時に、パントマイムを教えてくれた師匠がローランという人物だった。ローランはパントマイムを行う者として、世界で最も偉大な人物のひとり。とても上品な経歴を持っていて、生前のマルソーにも師事していた方なんだ。そんな彼に『僕は(今度の映画で)サスカッチをやるから、サスカッチのように歩くことを教えてもらえないか』と頼んだんだ」
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