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「河合優実さんでなければ成立しなかった作品」 「あんのこと」入江悠監督が語る、河合、佐藤二朗、稲垣吾郎の素晴らしさ

映画.com / 2024年6月3日 14時0分

 先ほど、本作の撮影では明確な終着点を設定せず、杏という主人公が「今、何を思っているんだろう」と探っていったという話をしました。自分にとっては、これまで撮ってきた映画とは根本的に異なるアプローチです。そのスタンスを、「あんのこと」のチームでは本当に深く共有できました。たとえば、物語に何らかのメッセージを込めようとか、観客の気持ちをある方向に引っ張ろうとか、そういうことは一切考えませんでした。プロデューサー、スタッフ、俳優、誰もそういうことを言わなかった。それがとても嬉しかったです。

 その原動力となったのは、やっぱり河合さんの芝居だと思います。たとえば今回、カメラマンの浦田秀穂さんのご提案で、シナリオにはなかった杏のシーンを現場で、かなり追加で撮っているんですね。散らかった団地の室内。荒川の橋の上。本編で使われる予定はなくても、そういうひとりの時間を切り取ることで、彼女の生きていた世界をスタッフ全員が徐々に掴んでいきました。

 現場だけじゃありません。カメラテストも実際のロケーションで衣装を着てやりましたし、杏が母から暴力を受けるシーンも「どういう種類の暴力がありえるんだろうか」ということを、河合優実さんと母役の河井青葉さんとともにエチュードをして、意見を交換しました。編集という最終プロセスも何度もやり直して、杏の人生について考えることができた。モデルとなった方に失礼がないよう、誠意を持って皆で映画を作っていけたことは真に貴重で、贅沢な体験でした。

 「あんのこと」は、6月7日から東京の新宿武蔵野館、丸の内TOEI、池袋シネマ・ロサほか全国公開。

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