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【インタビュー】杏、司法を飛び越える強烈な母性を体現 「倫理に左右されない行動力」を通して観客に問いかける

映画.com / 2024年6月4日 14時0分

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 杏が主演を務め、関根光才監督の「生きてるだけで、愛。」に続く長編映画第2作「かくしごと」。杏は、偶然出会った少年を守るために、自身が母親であると偽る主人公を演じた。映画.comが敢行したインタビューで、自身も母である杏が「今の自分だったらできるかもしれない」と直感し、挑んだ難役について語った。(取材・文/編集部)

 本作は、ミステリー作家・北國浩二氏の「嘘」(※「嘘」は正字)を映画化するもの。絵本作家の千紗子(杏)は、長年絶縁状態にあった父・孝蔵(奥田瑛二)が認知症を発症したため、田舎に戻り、介護を始めることになった。娘のことすら忘れてしまった、他人のような父との同居に辟易する日々を送っていたある日、事故で記憶を失った少年(中須翔真)を助ける。少年に虐待の痕を見つけた千紗子は、彼を守るため、自分が母だと嘘をつき、一緒に暮らし始める。3人は次第に心を通わせ、新しい家族の形を育んでいくが、幸せな生活は長くは続かなかった。

 ある辛い過去を背負い、目の前の少年のために、社会のなかでは許されない行動に駆り立てられていく千紗子。杏は、新境地ともいえる鬼気迫る演技で、司法や倫理の壁を飛び越える強烈な母性を内に秘めているような役どころを体現した。観る者は千紗子の想像を超えた母性を痛いほどに感じ、「かくしごと」というタイトルがさまざまな意味を帯びて立ち上がってくる結末に、圧倒される。杏自身は、撮影をどのような思いで過ごしていたか、聞いてみた。

 「演じるうえで、2日に1度くらいは、本当に涙が出るようなシーンが多かったです。かなり重たかったり、思いつめたりするシーンがほとんどなので、気持ちのキープが大変でした。あとは真夏の撮影だったので、単純に体力的な大変さもありました。それこそ感情を乱されるシーンも多く、心も疲れるような環境だったので、自分のケアにも気を遣っていました」

 関根監督からは、役づくりについて、「自分を消して自分以外の誰かになろうとするよりも、キャラクターのなかにある自分らしさ、自分である部分をプルアウトして演じて頂きたい」というリクエストがあったそう。役そのものに共感できた部分はあったのだろうか。

 「共感というと、またすごく難しく、千紗子の過去の重さや辛さは想像するしかない部分もありました。そのなかで、少年を守るために嘘をついたという行動は、もしかしたら自分のためだったのかもしれないと思いました。何にせよ、いまの司法の枠からは外れた行動ということで、世間に非難されてしまうものではあるのですが……」

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