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「普遍的な愛は家族間にのみあるわけではない」アレクサンダー・ペイン監督「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」インタビュー

映画.com / 2024年6月22日 9時0分

――映画を観た多くの日本のメディア関係者たちが、笑って泣いて、「自分はこういう映画を観たかった」と語っています。アメリカではこの映画はどのように受け止められましたか?

 反応を教えてくれてありがとう。それを聞いてとても嬉しいです。アメリカで去年10月に公開されたときも、日本と同じようなリアクションでした。「昔ながらの映画を観るのはいい体験だった」「最高な形の古風な映画」「こういう映画ってもう作られてないよね」といった感想が上がっていました。

 その中で、一番嬉しかった反応は作品のテーマとして、今の私たちの世界が間違った方向に向かっている中で、3人の登場人物はまったく性格が違うにも関わらず、お互いにお互いを愛する方法を見つける、と受け止めてもらえたことでした。

――ハナム先生は物語が進むにつれ、欠点も含めて親しみを感じられるようになるキャラクターです。そんな人物像を描く上で監督が心掛けたこと、ポール・ジアマッティと話したことなど教えてください。

 その質問はどちらかというとポールにしてもらった方がいいかもしれません。ポールとはあんまりキャラクターについては話してないんです。彼はとても賢くて、クリエイティブ。彼のことを信頼しているからハナム先生役を預けることができました。ポールも「このキャラクターのことは分かっています、任せてください」と言ってくれました。彼は東海岸の上流の教育の世界のことをよく知っています。なぜなら、彼の父も祖父も教授で、母は教師で、彼自身も有名な伝統的寄宿学校の出身で、父が教鞭をとっていたイェール大学の出身だから勝手知ったる場所で。

 ひとつだけ、このキャラクターについて彼と話したことがあります。自分の知識を他の人に伝えること、規律を持っていることはハナム先生にとっての甲冑であり、身にまとっている衣装みたいなもの。映画を観る人たちが、その甲冑の下にある本当の姿を物語が進行する中で知っていけるようにしたい。脚本に書かれていることではありますが、そこにポールが見事に命を吹き込んでくれました。だんだんと出来事が起こる中で、彼自身の心が柔らかくなっていくのです。

――ダバイン・ジョイ・ランドルフは、メアリーの複雑さを見事に演じていました。彼女とはこのキャラクターについて、どのような話をしたのでしょうか?

 いい脚本だったから、そんなに彼女とも会話をしていないかも。今回の脚本は、僕が書いてないからいい脚本なんだよ(笑)。いい脚本と知的な役者がいれば、あまり監督から言うことはないんです。僕が好きな演出は「大声で」「柔らかく」「早く」「ゆっくり」といった動きについてだけ。彼女もメアリー役をしっかりと理解していました。しいて言えば、「遠慮せずにコメディ色を強く出していいよ」と背中を押したことくらいでしょうか。

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