1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 映画

「普遍的な愛は家族間にのみあるわけではない」アレクサンダー・ペイン監督「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」インタビュー

映画.com / 2024年6月22日 9時0分

 僕の好きな役者は、ドラマチックな役を演じている中でもコメディ的な才能を持っている人たち。悲しいシーンだったり、ちょっと暗いシーンであっても、チャーミングであってほしいと思うから。彼女もポールと同じイェール大学の演劇クラスに通っていました。古典的な演技を学んだうえで、ポール同様にコメディセンスを持ち合わせているんです。

――ドミニク・セッサは撮影を行った学校の生徒だったそうですね。アンガス役が彼に決まった経緯や決定打はなんでしょうか?

 今は簡単にオーディション映像が撮れて、すぐにアップロードして応募することができるから、今の時代のキャスティングディレクターはかなりの数の応募書類をさばかなければなりません。アンガスを演じる人が洗練されすぎていたり、ハリウッドに染まったような子供では信憑性がありません。生々しさや無垢さみたいな、リアルな人間をスクリーンで観たいと思っていました。キャスティングディレクターは800人、僕は100人くらいの子供を見ましたが、どれもアンガスではありませんでした。もともと、撮影する学校でも募集してみようと話していたので、演劇部の先生に「俳優を探してるんだけど」と聞いてみたんです。そして、ディアフィールド・アカデミーで奇跡的にふたりの俳優を見つけることができました。ひとりはドミニクで、もうひとりは「コブサラダは僕が食べるものだと思ってた!」と言っている子です。

 ドミニクは生粋の映画スター。才能はいろんなところに存在しているから、キャスティングディレクターも監督も、自分なりにそういった才能を見つける方法を探すのが義務だと思います。ドミニクは演劇部内のスターでした。学校の舞台に上がったことはあるけれど、YouTubeなどを含めたビデオに収められたことさえなかったんです! 彼に会ってみると、リハーサルでキャラクターに必要な感情を表現できるし、オーディションでも技術的な部分――目線やカメラに対する動きなどテクニカルな部分も優れていました。今となっては、彼は僕より稼いでいるんですよ(笑)。

――ハナム先生、アンガス、メアリーはある種の疑似家族を形成しているようにも見えます。監督はこのテーマの魅力をどうお考えですか?

 人生のすべてはキャスティングだと思っています。友人もキャスティング、仕事もキャスティング。でも、家族は神であるプロデューサーが雇えと言われて押し付けられる人の集合体です(笑)。だから、家族よりも友人のほうが自分の気持ちが近いと感じる人も多いんじゃないかと思います。そして、普遍的な愛とは家族の間にのみあるわけではありません。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください