1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 映画

ホウ・シャオシェンから伝えられたことは? 台湾ニューシネマの系譜を受け継ぐ俊英、新作「オールド・フォックス」を語る【アジア映画コラム】

映画.com / 2024年6月26日 19時0分

 リャオ・タイライに関しては、先程私の母親から着想したと言いましたが、グァンティンは「あれは、ぼくの父だ、本当に同じです」と言っていました。彼は、自分の父を思い出して、そのまま演じたんです。ちなみに、私以外にも「自分の母に似ている」と言っている者もいました。つまり、それぞれがリャオ・タイライに“自分の両親”を重ね合わせていたのです。

――オールド・フォックスのシャは、当時の時代を象徴する人物だと思います。

 私は500人ぐらいのオールド・フォックスに会ったことがありますよ(笑)。 学校を出て、社会に出たとき、最も資本主義的な産業に入ったのですが、あそこのすべての議論は“お金”でしかないんです。私は広告の仕事もしたことがあるのですが、広告は基本的に、どのような“偽装”をすべきかについて話し合っています。私の母親の教えとは真逆ですね。

 もちろん、オールド・フォックスの考え方は悪いことではありませんし、母の考えは時代遅れでもないと思います。基本的に自分の人生は、自分自身のもの。どのようにバランスをとるかは、人それぞれじゃないかなと思います。

――リャオジエを演じるバイ・ルンインさんの演技は、非常に素晴らしかったです。見事に難役を演じ切っていました。

 バイ・ルンインとの出会いは、とても幸運でした。 実は、最初からバイ・ルンインに、この難役をお願いしたかったのです。彼は5、6歳のとき、いくつか舞台に出ていました。出演回数はそれほど多くはなかったのですが、とても印象深い存在でした。しかし、彼をキャスティングをしようとした時、学業のため、役者を引退すると言われました。私も子どもがいて、親の気持ちもわかるので、バイ・ルンインのキャスティングを断念し、リャオジエ役をオーディションで探そうと思いました。

 しかし、なかなか良い人が見つからなかったので、改めてバイ・ルンインに連絡しました。すると両親から「ずっと待っていました」と言われたんです。「役者を引退したのではないのですか?」と聞いたら「こんなに良い役を諦めたくない」ということで出演が決まったんです。

 バイ・ルンインは非常に素晴らしい役者です。子役ではなく、役者ですね。この年齢の役者はなかなかコントロールできない時がありますが、バイ・ルンインはそれが一切なかったし、役について常に私とディスカッションしていました。リャオジエというキャラクターは、バイ・ルンインがいなければ成立しなかったと思います。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください