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ホウ・シャオシェンから伝えられたことは? 台湾ニューシネマの系譜を受け継ぐ俊英、新作「オールド・フォックス」を語る【アジア映画コラム】

映画.com / 2024年6月26日 19時0分

――バイ・ルンインの視点から見てみると、本作のところどころには「君たちはどう生きるか」の要素に近い部分も感じました。

 今の世界はとても複雑だと思っています。私は自分の子どもたちに、世界はとても無垢で完璧なものだとは教えたくありません。そして、世界はとても邪悪で危険に満ちているとも教えたくはありません。この世界はある意味、2つの世界が密接に関係しているといえるでしょう。自分の人生は、自分で選ばなければならなりません。結果が異なれば、別の道に進み、自信で納得ができるまで探し続けなければならないんです。

――男性のキャラクターに加えて、女性キャラクターたちも非常に印象深かったです。

 女性キャラクターがいないと、階級に関する描写が足りないのではないかと思います。リャオ・タイライとヤンジュンメイの関係があのような結果になったのも、階級による影響だと考えています。

――ヤンジュンメイを演じたのは、日本の俳優・門脇麦さんです。キャスティングの経緯について教えて下さい

 運命だと思います。本作のプロデューサーのひとりは、日本から参加している小坂史子さんです。小坂さんから「日本の役者と一緒に映画を作ることに興味はありますか」と聞かれました。私はとても興味を持っていました。昔、ホウ・シャオシェン監督の助監督を務めていた頃、監督から何度も「日本の俳優と仕事をする機会があれば、ぜひ挑戦してください」と言われました。日本人俳優の仕事への取り組み方や考え方は「とても面白い」と言っていましたね。

 門脇さんはこの物語をとても気に入ってくれて「どうしてもこの映画に出たい」と言ってくれたので、すぐに出演が決まりました。彼女は本当に素晴らしい俳優だと思います。

――本作の時代設定は80年代。美術が見事に時代を再現していました。

 美術に関しては、私自身がとても誇りに思っている部分です。時代をしっかりと再現するために、かなりの工夫を凝らしました。脚本を書く時、私は“あの時代”を経験してはいますが、記憶の誤りも多いため、いろんなことを調べました。そこで集めた資料に基づいて、小道具をたくさん作っています。とにかく細かい部分まで、全部丁寧に再現しようと思いました。

(取材・文/徐昊辰)

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