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オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件の主犯、ヘンリー八世と6番目の妻……トライベッカ映画祭で注目した5作を紹介【NY発コラム】

映画.com / 2024年7月7日 16時30分

 情熱的で夢想家だが、感情的に行動してしまい、上司に叱られてばかりのシェフ、ペドロ(ラウル・ブリオネス)と、優柔不断な自分に悩むウェイトレス、ジュリア(ルーニー・マーラ)の波乱の恋を中心に描きつつ、レストランでの人間模様と“お金が消えた理由”を描いていく。

 見どころは、レストランが満席の状態で繰り広げられる厨房でのウェイターとシェフの掛け合い。手早く調理をして美味しそうな料理を皿に盛るシェフ、客の注文を丁寧に受け取り、なるべく早く料理を客のもとに配膳しようとするウェイター。およそ数分間にわたりワンショットで撮影されている。まるでダンスの振り付けをしているように、ウェイターとシェフがカメラ前を通り過ぎる姿が圧巻。アロンソ・ルイスパラシオス監督によると、およそ1週間かけて同シーンの撮影に臨んでいたとのこと。

 アロンソ監督は、ロンドンのカフェで働いていた経験も踏まえながら今作を撮影したそう。ニューヨークのタイムズスクエアにある「Red Lobster」「Olive Garden」などの忙しいレストランの厨房を見学したり、不法滞在者のシェフへのインタビューを、信頼できる機関を通じて敢行したようで、さまざまな人が交錯するレストランを万華鏡のように描きながら、移民労働者が直面する過酷な現実をあぶり出している。

●「McVeigh」

 1995年4月19日に発生したオクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件。30年近く経った現在も、40代以上のアメリカ人には鮮烈な記憶として残っているはずだ。本作は、同事件の主犯、ティモシー・マクベイを描いた長編映画だ。ティモシー・マクベイ役は、アルフィー・アレンが演じている。

 メガホンを取ったマイク・オット監督は、まるで顕微鏡でティモシーを観察したかのようだ。ティモシーが食事をする姿、不気味にニュースを見る姿、シャイながらも女の子と出会う姿など、日々の生活を淡々と描いていく。

 暗がり中心のダークな色調でとらえられており、ほぼワイドショット中心に撮影している。これによって、観客はまるで観察者になったような感覚で鑑賞することができる。観客自身が“アメリカ史上最悪の犯罪者を検証していく”ような演出が興味深い。ティモシーはアメリカ陸軍時代に、トップクラスの狙撃成績を残していた。その姿を彷彿させるような射撃場のシーンでは、見事に的を撃ち抜く姿も活写されている。

 実際のティモシーの犯行は、犯行声明文がなかったり、動機についても「ブランチ・ダビディアン(ウェーコ事件、1993年4月19日)とルビー・リッジに対して、政府がしたことに対する復讐だ」と述べている。

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