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オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件の主犯、ヘンリー八世と6番目の妻……トライベッカ映画祭で注目した5作を紹介【NY発コラム】

映画.com / 2024年7月7日 16時30分

 映画内では共犯者のテリー・ニコルズらも描かれているが、現実の出来事をセンセーショナルにあえて描くことはない。ティモシーの心理を観客に想像させ、破滅的な緊張感を最後まで持続させている点が印象深いのだ。ちなみにティモシーは、 ADXフローレンス刑務所に収監されていた際、共犯者のニコルズと共に、“ユナボマー”セオドア・カジンスキー、世界貿易センター爆破事件を引き起こしたラムジ・ユセフとも交友関係を持とうとしていた。そのことを考えると、最後まで不気味な人物だったように思える。

●「Same Rain Must Fall」

 2017年のカンヌ国際映画祭にて、短編映画「A Gentle Night」がパルムドールに輝いたチウ・ヤン監督の長編デビュー作。

 家庭を持つことがすべてだと思っていた母親・蔡は、ティーンエイジャーの娘が所属する弱小バスケチームの試合観戦に行った。その際、足元にバスケットボールが転がってきた。当日何かイライラしていた彼女は、思いっきり投げ返すのだが、観戦に訪れていたお婆さんの頭に直撃。そのままお婆さんは重体となり、病院に運ばれることになった。やがて、外見は完璧に見えた蔡の人生が、脅威的な混乱に陥っていく。

 たったひとつの間違いが、娘の学校でのいじめ、夫との離婚相談にまで発展。周りに住む人々からも村八分にされていく過程が、競争率、階級差、差別も際立つ中国社会を捉えている。

 チウ・ヤン監督は、オーストラリアの大学で学んだ後、実家に戻り、それまで疎遠だった母親とじっくり向き合って生活した。そのことが、今作を手がけるきっかけになったことをインタビューで明かしてくれた。また「母親との生活によって、家族として誰かを支えるということは、フルタイムの仕事であることを再認識させられた」とも語っている。

 最も魅力的なポイントは、主演の蔡を演じたユ・アイエ以外、プロの俳優を使っていないところ。チウ・ヤン監督は短編作品でもプロの俳優は使っていない。今作では、キャスティング・ディレクターを雇い、俳優経験のないリアルな人々を、ストリートでキャスティングしたそう。あえて、個性的な一般人を雇い、彼ら本来の姿のままでいてもらいながら、1カ月のトレーニングや下準備をして臨んだそうだ。一つの事件が巻き起こす余波を契機に「中国社会での階級とは何か」「家族とは何か」だけでなく「自己を探求している」作品として描かれている。

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