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山本耕史が26年ぶりのマーク役で、ブロードウェイスターたちと英語で演じきった「RENT」に感無量!!【若林ゆり 舞台.com】

映画.com / 2024年8月28日 13時0分

 正直、この目で見るまでは「大丈夫なのか?」という不安はぬぐえなかった。だって山本は47歳。本人も「僕に、26年前に子どもが生まれていたとしたら、その子どもが(マーク役を)できているくらいの年ですからね。そう考えると感慨深い」と語っているほどだ。もちろん俳優としての実力に疑問の余地はないが、近ごろは大河ドラマなどで貫禄さえ見せている彼である。年齢が大きく違う、若きマーク役をいかに演じるのだろうか?

 ところが! 舞台に躍り出たマークは若々しく瑞々しい。 「つるつるの美肌だなあ」とは思っていたが、それより彼の果てしない身体能力とリズム感、体幹のしなやかさが若さの表現につながっていることに感嘆させられた。英語のセリフも歌も、何の違和感もストレスもなく、完璧。浮いていないどころか、むしろ日本人にさえ見えない。初日の舞台では、山本マークが登場するなり「待ってました!」とばかりに客席は大興奮、大歓声! マークの第一声、「We Begin on Christmas Eve!」のセリフは完全にかき消され、開幕直後に山本はショーストッパー(※演劇で、拍手喝采のあまり進行が中断してしまうほどの名演技や、その演技をした俳優を指す) となったのだった。

 山本のマークを観て、聞いていて思ったのは、オリジナルキャスト(映画版、来日公演でもマーク役を務めた)のアンソニー・ラップと声の感じがよく似ている!ということだった。しかし、コピーだとか真似にはなっていない。そこには山本らしいエネルギーの発散があり、表現のインパクトが強いからだ。親友ロジャーを始めとする仲間たちとの関係も見え、役者たちと稽古場で絆を深めたのだろうということも容易に想像できる。この物語のなかで、ビデオ・アーティスト志望のマークという人間はナレーターであり、仲間たちにカメラを向けて見つめる、この世界の傍観者のような存在でもある。敏感であるがゆえの孤独。それが、孤軍奮闘を余儀なくされたはずの山本と重なるような感覚もあって感慨もひとしおだった。

 ブロードウェイなどで活躍するキャストも、それぞれが適任。ロジャー役のアレックス・ボニエロはワイルドさと繊細さが同居し、マークとの掛け合いには友情がクッキリと見える。ジョーダン・ドブソンのエンジェルはキュートでけなげで純粋な、まさにエンジェルだ。バラバラになった仲間たちの絆を、自らの死によって再び繋ぎ合わせる魂の美しさが非常に印象的だった。

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