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「そこのみにて光輝く」公開から10年 企画・製作の菅原和博氏が振り返る“幸せな光景”

映画.com / 2024年9月6日 20時0分

 「最初の興行も大成功でしたが、モントリオールから凱旋して改めて上映してみたら、すごくたくさんのお客さんが来てくれた。そのおかげで、その後の映画製作の資金が作れたようなものだから」

 また、モントリオールへは家族も同伴したそうで、思い出深い一夜になったようだ。「授賞式の夜は、本当に幸せな時間だったなあ。みんなでモントリオールのレストランへ行ったんだけど、僕も家族を連れて行ったから約30人の大所帯だった。みんなが笑顔で、良い思いをさせてもらいました」。

 帰国すると、芸能事務所から「うちの俳優も佐藤泰志の映画に出たいのですが…」という問い合わせが幾つも入ったようだ。現在68歳の菅原は改めて当時を振り返り、「当時は当たり前だけど、今よりもエネルギッシュだった。自分が観たいと思える映画を『海炭市叙景』と『そこのみにて光輝く』を作ることで、実現できた。より映画の心臓部に近づいた気がして興奮もしたし、いち映画ファンとしても醍醐味を味わうことができた。映画館を経営している人間としては、お客様がいっぱい足を運んでくれて活性化にもつながった。シネマアイリスは今年28年目だけど、ここまで続けてこられたのは映画作りを経験したからこそじゃないかって思うんです。映画が映画館を助けてくれたんだね」

 コロナ禍で製作、公開した「草の響き」(21)以降、新作の話が具体化こそしていないが、これで立ち止まるつもりは毛頭ない。佐藤原作以外のものも含め、企画の構想は温めている。映画製作の“怖さ”も知っているだけに、機が熟すのを冷静に見極めようとしている菅原の今後を引き続き追いかけていきたい。

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