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梶芽衣子、憧れの巨匠・増村保造監督との撮影の日々を振り返る

映画.com / 2024年9月15日 22時0分

 話はどんどん脇道に逸れながらも、興味深い話が次々と飛び出し、会場も興味津々。台本の読み方が分からずに女優としてのジレンマを抱えていたという梶は、「青春前期 青い果実」で母親役を務めた名女優・山岡久乃の自宅へ行き、「台本の読み方を教えてください」と直訴したこともあった。秘訣を簡単に教えてもらえるわけもなかったが、「教えてくれるまで帰りません!」としばらく立ち続けていたという。

 しばらく経って、その様子にあきれ果てた山岡が「あんた、お腹は?」。そんなやり取りを経て、ようやく台本の読み方を教えてもらったという梶。「山岡さんってものすごいおっかない人なんですよ。でもその怖さの中に愛がある人で。そこにつけ込んだんですが、やっぱりわたしの目に狂いはなかった。でもここではその秘訣は教えないわよ。わたしが苦労して教えてもらったんだから」と会場に宣言し、会場を笑わせた。

 そして話は再び増村監督の話題に戻っていく。東京出身の梶が大阪弁と廓詞(くるわことば)に苦労し、音楽のリズムとして覚えたという話。そして低予算であることを感じさせない美術、撮影、照明の素晴らしさをせつせつと語る梶は、「モントリオールの映画祭でも、みんなあ然としてましたね。(完成した)映画を観ているから。どう見ても低予算、少人数で撮ったとは思えないと。それとタランティーノが『キル・ビル』で来た時にもその話をしたんだけど、あの人も言葉が出てなかったね」と笑いつつも、「でも日活で撮った映画は、ほとんどが2週間くらいだったから。だから19日でもありがたかったわよ」と冗談めかしながら付け加えた。

 「増村監督とのやり取りで思い出されることは?」という質問には「あの人はヒマさえあれば『はいヨーイ』『はいヨーイ』って言うんですよ。でもこっちは気が急くし、まだライティングもやっているわけだから。やめてくださいよと言っちゃいましたね。そうしたらものすごく不機嫌そうな顔をして。増村さんはいつも同じチノパンをはいていて、お尻のところにぞうきんを入れているんだけど、わたしがそう言ってやったら歯ぎしりをしながら床を磨いていたの。『ざまあみろ、やっつけてやった』と思った」と明かし、会場を笑わせた梶だったが、「でもね、あるときに『なんで本番の芝居では、あの元気さが出ないんだ』と言われて。やっぱりやられるのよね」と笑いながら付け加えた。

 その後も増村監督とやり合うエピソードの数々を披露し、会場を沸かせた梶だったが、「何をされても愛情に感じました。ただ新人の時は気付かないのよ。だからいちいち逆らっていた。残念なことに、それが愛情だったというのはキャリアを積んでから分かる。最初は台本の読み方も分からなかったんだから」と述懐する。

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