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「憐れみの3章」ヨルゴス・ランティモス監督インタビュー 奇想天外な物語が3部構成になった理由、撮影中エピソード語る

映画.com / 2024年9月26日 17時0分

 最終的にそこにたどり着くまでに長い時間がかかりましたが、私たちは取り組むことをやめませんでした。そして今、また他の企画に取り組み始めました。ですから、エフティミスとはノンストップのコラボレーションなのです。

――この作品の役作りをまとめ、また3つの物語の間にある必要な結びつきを編み上げていくにあたり、俳優たちとどれくらい会話を重ねましたか?

 プレスインタビューでの彼ら(俳優たち)の話を聞いていると、彼らの多くは「信頼」を持たねばならなかったようです。3つの短い物語の構成上、彼らにもあまり情報がなかったので、盲目的に物語の構成を信じて、見つけるべきものを見つけ、そこにあるものに忠実になっていました。俳優同士、適応したり、サポートし合ったりして、お互いに必要としていることを養い、養われる関係性だったと思います。

 この映画は、俳優同士のセリフから見出すものが多く、俳優個人が「このキャラクターはこうだ、このように演じるべきだ」と考えたり、分析的になったりするのではなく、文字通りでもなく、お互いのコラボレーションで進めていくような感じで、「さぁ、なぜか分からないけど、こんな状況になった、でもどんなことがあってもお互いサポートしあっていこう」、という俳優の勇気が必要とされていました。物語の背景も、詳細な情報もあまりない状態で、彼らは自分で判断せずにその場に立たねばならなかったのです。そして彼らはそれを成し遂げてくれましたから、私は感謝していますし、楽しんでくれていたと思っています。なぜなら、今までにない方法での取り組みだったからです。

――あなたが俳優を誘う時に使った言葉が「Play」(遊び/演技)だったと聞きました。監督自身が作った遊び場に遊びに来ないかと誘ったようですね。

 はい、小さな役の時は私はいつもそうやって俳優を説得するんです(笑)。「ちょっとした役だけど、遊び(演じ)においでよ、楽しいよ」と。良い関係を構築していこう、私たちに未来を与えてくれるよ、という誘いでもあります。そして彼らの多くが来てくれるのです。

 彼ら俳優がもたらしてくれる深みや、同じ人々と何度も同じ仕事をしているからこそ築けた関係性から、これまで探検したことのない場所に行くことができ、信頼も深まり、より多くのことを成し遂げることができるのです。失敗することもあるかもしれませんが、それを補い合うため、お互いが存在しているという俳優たちやスタッフの信頼関係があるのです。スタッフたちは、俳優たちのこともよく知っていて、また、毎回新しいメンバーが加わって家族のようなものになってきています。それが前に進むための理想的な方法だと思います。

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