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「西湖畔に生きる」マルチ商法から人間の欲望を描く意欲作 山田洋次監督が注目する中国の俊英が語る映画と人生哲学

映画.com / 2024年9月28日 8時0分

「西湖畔に生きる」マルチ商法から人間の欲望を描く意欲作 山田洋次監督が注目する中国の俊英が語る映画と人生哲学

(C)Hangzhou Enlightenment Films Co., Ltd.

 長編デビュー作「春江水暖 しゅんこうすいだん」で世界から注目された中国のグー・シャオガン監督の長編第2作「西湖畔(せいこはん)に生きる」が公開された。

 グー監督は、長編初監督作「春江水暖 しゅんこうすいだん」が2019年カンヌ国際映画祭批評家週間のクロージング作品に選ばれるなど国際的に高い評価を受け、日本では山田洋次監督が選考委員を務めた第36回東京国際映画祭黒澤明賞を受賞した俊英だ。

 「西湖畔に生きる」は、世界遺産であり、最高峰の中国茶・龍井茶の生産地としても有名な西湖(せいこ)のほとりに暮らす母と息子が主人公。茶摘み農園で働きながら一人息子を育てたシングルマザーが、あることから詐欺まがいのマルチ商法の世界に足を踏み入れてしまい、成長した息子が母を救おうとする様、そして人間の欲望や現代中国社会が抱える問題を仏教故事のメタファーで表現し、芸術性高い映像表現ととともにエンタメ性あふれるドラマとして描いた。このほど来日したグー監督に話を聞いた。

<あらすじ>
最高峰の中国茶・龍井茶の生産地である西湖のほとりに暮らす母タイホアと息子ムーリエン。ムーリエンの父は10年前に行方不明になっており、タイホアが茶摘みの仕事をしながら、ひとりで息子を育て上げた。ムーリエンは早く仕事を見つけて母を安心させたいと考えるも上手くいかない。一方のタイホアも茶畑の主人チェンと懇意になるが、そのことでチェンの母の怒りを買い、茶畑を追い出されてしまう。やがてタイホアは友人の誘いで違法ビジネスにのめり込んでいき、ムーリエンはそんな母を救うため、ある決断をする。

――昨年2023年の東京国際映画祭で本作が日本でお披露目となり、「春江水暖 しゅんこうすいだん」を高く評価した山田洋次と対談されましたね。

 東京国際映画祭で黒澤明賞をいただき、山田監督と対話ができ、本当に夢見心地で、現実感のないような気持ちでした。おふたりとも映画界における神のような存在で、そんな方にお会いでき、ご縁を持つことができるとは思ってもいなかったので、あの日はとても緊張し、そして私にとって大きな励ましにもなりました。

 山田監督は「春江水暖」と本作のスタイルの違いを感じられていたようでしたが、あの日の対話でそのことを説明しようという気持ちはありませんでした。それよりも、これからの作品の中で、私の探索を見ていただけたらと思っています。

――非常に現代的な問題である、マルチ商法の暗部を描いていますが、釈迦の十大弟子のひとり・目連が地獄に堕ちた母を救う仏教故事「目連救母」がこの映画の物語のテーマだそうですね。

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