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映画「十一人の賊軍」撮影現場潜入レポート 新たな集団抗争劇への期待が高まる生々しい舞台装置、白石和彌監督の思い

映画.com / 2024年10月5日 12時0分

 「これらを思いっきりどう壊せるか――跡形も無くすくらい壊して、贅沢に楽しみたいと思っています」と白石監督。既に本編映像の一部が公開されているが、“決死隊”による砦の防衛戦が大きな見どころのひとつだ。この日は砲撃を受けて一番の本丸(砦)が壊れる様もカメラに収められた。

 大砲から轟音が鳴り響き、無数の砲弾が飛んでくる。逃げ惑う人々の行く道を遮るように立ち上る火柱……完成した映像内では息もつかせぬ攻防が繰り広げられる。

 この日、撮影されたのは砦が官軍の砲撃を受け、田中俊介が演じる決死隊のひとり、荒井が負傷する場面、そして、同じく決死隊のひとりで佐久本宝扮するノロが、政とともにピンチを迎え、手製の爆弾を投げ官軍が吹っ飛ぶという壮絶な場面だ。

 残暑厳しい9月下旬、半袖の軽装でも汗ばむほどの気温だったが、役者陣は和装に防具という時代物ならではの衣装を着こんでの演技だ。現場では精悍な顔つきでリハーサルに臨む主演の山田、仲野の姿も確認できた。山田と白石監督は、白石監督の出世作でもある「凶悪」(2013)以来のタッグとなる。

 「『凶悪』を撮った時のスタッフは20人くらい。しかしここ数年、Netflix作品も含めると、80人から100人ものスタッフがいるような現場となり、どこかで自分の映画作りの原点に帰りたいと数年もがいていました。そういう意味でも『凶悪』に出てくれた山田さんは、僕を映画監督にしてくれた人でもあるので、山田さんともう1回やることで、自分の魂を初心に戻して、純粋に映画作りができるんじゃないかと思った」

 「僕の魂の叫びみたいなものを、山田さんだったら受け取ってくれるんじゃないか――そう考えて出演をお願いしました。『凶悪』から10年経って山田さんもプロデューサーをやられたりと、多角的に作品を見られるので、今、とても心強い存在になっています」と白石監督。

 白石監督は「凶悪」を発表した頃から、時代劇製作への強い意欲があったという。今年5月には初の時代劇「碁盤斬り」(草彅剛主演)も発表したが、「工藤栄一監督や黒澤明監督の作品を見てきて、大勢で戦う時代劇に僕にとってのロマンがあった」と長年、集団抗争劇へのあこがれを持ち続けていた。そして、この笠原氏の企画に運命的に出合い、自ら監督することになる。

 「もう緊張感しかないです。東映はもちろん、笠原さんは日本映画の中で特別な存在ですし、そのお名前があるものをやる以上は、日本映画史に残るべく傑作にしないと」と意気込み、そして「笠原さんのお墓参りに行ったり、奥様ともお話をさせていただきました。シナハンで新潟に行ったときには、東映の大プロデューサーだった日下部五朗さんの娘さんにお会いする機会もあって。当時この企画が実現していたら、若き日の日下部さんがかかわっていたかもしれないですし、いろんなご縁を感じています」と自身の使命も感じている。

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