チェ・ミンシク、気鋭監督の挑戦を後押し「大切なのは、自分がこう撮りたいと考えた表現を貫くこと」【「破墓 パミョ」インタビュー】
映画.com / 2024年10月20日 10時0分
――本作のようなジャンルを得意とするチャン・ジェヒョン監督との初仕事はいかがでしたか?
ミンシク:予想していた通り、制作への姿勢が素晴らしかったですね。家づくりに例えるなら、レンガや壁紙、材木や塗料のひとつに至るまで細かく選んで建てていくように、精魂込めてじっくり制作に向き合っていて。彼は自分が描きたいと考えている世界を具現化するため、要素を一つひとつ丁寧に積み上げていくように映画をつくり上げていきました。基本的なことではありますが、それをここまで徹底してできる監督はなかなかいません。人間であればつい見えないところで楽をしたり、妥協してしまうものですから。でも彼は細部に至るまで一切手を抜くことなく作品づくりに向き合っていたので、年齢的にはかなり歳下でありながらも彼のもとで働けることを誇らしく思いました。
――前半と後半でスタイルの違う恐怖が襲ってくるのが刺激的でした。観客の予想を裏切る非常にユニークな作品だと思いますが、このツイストのある脚本を初めて読んだ時にどう感じられましたか?
ミンシク:私も脚本を読んで、ひとつの作品に2つの物語があるような印象を受けたんです。でも監督のなかでは筋の通った確固たる考えがあったので、その意図について丁寧に説明をしてくれました。もしかするとジャンル映画が好きな方々は、その部分に関して「もっとこうした方が良いのでは」と思うかもしれません。どうしても固定観念というものがあるので「ジャンル映画はこうあるべき」といった既存のイメージにとらわれがちですよね。でもチャン監督はそういった枠にとらわれず、新しいことにどんどんトライしていたので、私もその姿勢に100%同意し応援していました。
映画監督をはじめ、ジャンルに限らずなにかを創作する人々は自分の思うがままに表現するべきではないでしょうか。そうしてこそはじめて、それが良い道なのか悪い道なのかを見極められると思うんです。大切なのは「こうすれば観客に喜ばれるだろう」といった考えや既存の枠にとらわれるのではなく、自分がこう撮りたいと考えた表現を貫くこと。そういう心構えでつくった結果なら、もし観客から賛同を得られなかったとしても、私は拍手を送りたいです。
●風水師という役どころは「ほとんど違和感なく演じられた」
――風水師という役柄に説得力を持たせる演技はさすがでしたが、今回風水師を演じる上でどのようなリサーチを行われたのでしょうか?
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