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堂本剛と綾野剛が問いかける、「好き」ってどういうこと?【「まる」インタビュー】

映画.com / 2024年10月21日 19時0分

――2年にわたるディスカッションの結晶としての脚本。最初に読まれたときの印象はいかがでしたか? 堂本さんが演じられたのは、アートで身を立てられず現代美術家のアシスタントをする沢田という役。通勤途中に事故に遭い、アシスタントの職を失うも、偶然描いた○(まる)が画壇で評価されて、新進アーティストとして脚光を浴びるという物語です。

 堂本:そうですね。なんかいろいろ話したことがこの物語になったという感慨と、文字だけを読んでいくとすごく難しくて、真面目に考えれば考えるほど映画タイトル通りのまるから抜け出せなくなっていく脚本だなと思いました。

 でも、まずは本読みをすると監督がおっしゃっていたので、そこで何か分かるだろうと、いったん自分なりに悩んで作って本読みに臨んだという感じです。不安という言葉が適切か分からないですけれど、最初はこれどう解釈すればいいんだろうという感じでした。

■綾野剛にとっては「やらない選択肢がない」

――堂本さんは「これは芝居人生で一番難しいものになるな」と感じたとうかがいました。私も先に脚本を拝見し、すごく面白かった反面、たわいもないやり取りで禅問答のごとくものごとの核心をつくような場面があり、演じるのはとても難しそうだと思いました。綾野さんはいかがでしたか?

 綾野:荻上監督からオファーをいただき、(堂本)剛さんが主演だと伺ったので、本能的に「やります」とお答えしました。監督からお手紙もいただき、ある一文に、横山は「私自身を投影した」と書かれていました。読み終わって、静かに横山の呼吸を確かめている自分がいました。

 荻上監督の世界観がとても大好きです。荻上ワールドを一度は生きてみたい想いでしたが、眺めているのがやっとでした。『かもめ食堂』や『めがね』など、一見穏やかですが、少しの辛辣さと、日常の中でたくましく生きる人々。そんな優しく強い世界観に魅せられていました。そんな荻上さんからのオファー。さらに役者を始める前から勝手にシンパシーを抱いていた剛さんとご一緒できる。やらない選択肢がない。その後、台本を開いたら、「いやあ、これは大変だ」と。

 直感って鍛錬されてきた中でしか基本生まれないと僕は思っております。「感覚でやっている」とか、「直感で選んだ」というのは鍛錬あってこそです。しかしこの作品には、鍛錬を積んでも判断不能な、見たことのない料理を初めて食べるような感じがありました。食用土の料理みたいというか。

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