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「国境ナイトクルージング」舞台は、なぜ延吉? アンソニー・チェン監督「若者の情緒をとらえるには“最高の町”」【アジア映画コラム】

映画.com / 2024年10月25日 7時0分

「国境ナイトクルージング」舞台は、なぜ延吉? アンソニー・チェン監督「若者の情緒をとらえるには“最高の町”」【アジア映画コラム】

(C) 2023 CANOPY PICTURES & HUACE PICTURES

 「次のアン・リーが現れた!」

 シンガポール出身の監督アンソニー・チェンは、デビュー作「イロイロ ぬくもりの記憶」で中華圏の映画業界に衝撃を与えました。その後はゆっくり時間をかけて、1本1本丁寧に作品を作っていくスタイルを貫き、2作目の「熱帯雨」も絶賛されました。順調にアジア各国で企画を開発していましたが、コロナの襲来が彼に大きく影響を与えました。

 「私が作った映画を、まだ見たい人はいるのだろうか」。そんな思いを抱えながらも、中国でも“極寒”の東北地方へ赴き、初の中国映画「国境ナイトクルージング」(公開中)を完成させました。

 この作品は、間違いなく“アンソニー・チェンの新境地”とも言える仕上がり。今回はオンラインインタビューの内容を通じて、製作秘話をお届けしましょう。

【「国境ナイトクルージング」概要】

中国と朝鮮半島の国境に位置する街・延吉を舞台に、偶然出会った男女3人が街をクルーズ(ぶらぶらと観光)するなかで起こる心情の変化を、繊細な映像美と抒情的音楽でつづった青春映画。

友人の結婚式に出席するため冬の延吉にやって来た青年ハオフォンは、上海へ戻る翌朝のフライトまでの暇つぶしに観光ツアーに参加した際に、スマートフォンを紛失してしまう。観光ガイドの女性ナナはお詫びとしてハオフォンを夜の延吉に連れ出し、男友達シャオも合流して飲み会で盛り上がる。翌朝、寝過ごしたハオフォンはフライトを逃し、シャオの提案により3人でバイクに乗って国境クルージングに出かける。

「少年の君」のチョウ・ドンユイがナナ、「唐人街探偵」シリーズのリウ・ハオランがハオフォン、「流転の地球」のチュー・チューシャオがシャオを演じた。

――「国境ナイトクルージング」の企画経緯を教えていただけますか?

 この映画はコロナ禍に「企画のスタート」「ストーリーのブラッシュアップ」「撮影」の全てが行われました。コロナは、私に大きな影響を与えました。その時は、ずっと悩んでいました。この監督人生に未来はあるのか?と。なぜかというと、私はずっと静かな映画を撮っていました。ところが、コロナ期間中は誰もがショート動画や配信作品に慣れてしまった。「もう私の映画は必要ないんじゃないか?」と思うようになっていたんです。

 だからこそ「自分には何ができるのか」ということを、いつも以上に考えていました。そこでいままで自分が挑戦したことのない作品に挑戦しようと思ったんです。「イロイロ ぬくもりの記憶」は家族について描きました。「熱帯雨」は、40代の女性に焦点を当てました。そこから“若者の映画を撮っていない”と意識し始めたんです。コロナ期間中、さまざまな記事を読み漁りました。特に若者関連の記事は非常に印象深かったですし、共感することが多かったんです。

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