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【亀山千広氏が語り尽くす、「室井慎次」2部作誕生秘話Vol.1】柳葉敏郎×君塚良一×本広克行と膝を突き合わせた会談の場で“事件”は起こった

映画.com / 2024年11月27日 12時0分

■古巣フジテレビが提示してくれた映画という方法論

――その後も、順風満帆だったわけではないですよね。柳葉さんの了解を取らないと進みようがないですし……。

 亀山:柳葉さんがちょうど「ブギウギ」を撮っているときにオファーをしてしまったんです。事務所さんを介して「もう無理だよ。何をするんだ。やれっこないよ。しんどいからやめてくれ」と断られてしまいました。それでも、君塚さんと僕は淡々と進めていったんです。公開された作品の事件がないバージョンと思ってください。君塚さんがロシア映画みたいな作品を撮りたいっていうんで、それはちょっと…って(笑)。

 そして、「踊る」のキャラクターのIPは当然ながら、フジテレビにあるわけです。君塚さんは当初、BSで30分ドラマを6本と言っていましたが、BSにこれだけのキャラクターを使って四季を追いかける…というプロジェクトをまとめるだけの体力はない。ただ、室井の人生の終焉を描くのならば、それくらい必要だなと思ったので、フジテレビへ相談に行ったんです。

 すると、ありがたいことに映画という方法論を提示してくれました。ただ、おそらく観に来てくれるお客様の年齢層は高いでしょうから、3時間の大作では持たないだろう。室井という27年間も付き合ってきたキャラクターの最期を見せるのに、2時間では終わらせたくないから前後編でやれないかと改めて相談をしたら、フジテレビも東宝さんも承諾してくれました。

■不意打ちだった「亀山さんの最後の作品になると思うから」

――そこで、亀山さんと君塚さんのスイッチが“オン”になるわけですね。

 亀山:ところが柳葉さんはOKしていないし、監督は「コメディがどこにもないので撮れません。僕に何をしろっていうんですか」と逃げまくり、悩みまくる。ふたりが首を縦に振らないなかで、僕と君塚さんは淡々と話を進めていく。本打ちに監督を呼んでも、ほとんどしゃべらない(笑)。君塚さんが「何か言えよ、監督」と振っても、「うーん、僕じゃないんじゃないですか」と下を向いている。さらに「柳葉さんがやらないって言っているんだから、いいじゃないですか」と言うので、必ず俺が口説くと。それで、柳葉さんに会うことになったんです。

 でも、説明してみたけど色よい返事はもらえず、「なぜやるんだ」「室井に決着をつけたいんです」「室井をやるのがどれだけしんどいか考えてくれ」「それが分かっているからこそ、楽になりましょうよ」「考えさせてくれ」というやり取りが続いたんですが、僕には柳葉さんが絶対にやってくれるという確信があったんです。それには、まず監督を含め、こちらの3人が一枚岩にならないと…と思っていたら、監督が夏場に考えすぎと熱中症で入院してしまった。

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