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【亀山千広氏が語り尽くす、「室井慎次」2部作誕生秘話Vol.2】フジテレビ社長室で亀山千広氏を睨めつけていた室井慎次

映画.com / 2024年12月4日 12時0分

 亀山:格好良い言い方をすれば、しんどいことが山積みだったわけですが、あの寄せ書きが後ろにあることで「俺はこういうことをしてきた男だ!」と自分に自信をつけたかったんだと思います。だから結局、背負っているというか、引きずっていたんでしょうね。そういう状況だったので、何かを作るということからは隔絶された世界でした。

 「踊る」がヒットしたら編成部長をやれと現場から外れ、「踊る2」が大ヒットしたら映画事業局を作れと言われ一部門ができ、フジテレビ映画というブランドも軌道に乗りました。そして「踊る THE FINAL」が終わると、常務を1年しか経験していないのに社長になる…。転機、転機に「踊る」がありました。

 君塚さんから「室井を書きたい」と言われたとき、「警視総監 室井慎次」を作る気は全くなかったんです。仮に組織のトップになったとして、達成感なんてほんのわずか。僕は半日くらいだった。帰りにレインボーブリッジを渡ってからフジテレビ社屋を見て「でかい会社だなあ」とプレッシャーに感じたものです。室井は公務員ですから、警視総監になったらなったで「でかい事件が起こらぬようつつがなく終わってくれ」「俺の在任期間中だけはうまくやってくれ」という心境になるはず。ちっとも楽しくないし、幸せでもない。

 僕は4年で成果を出せずに退任するわけですが、BSフジはフジテレビと比べれば20分の1くらいの会社です。いまは筧利夫さんが演じてくださった今作の新城賢太郎の気分ですよ。新城のセリフにもありましたよね。「ここから改革する」。あのセリフは君塚さんがお書きになったものですが、きっと僕の会話をお聞きになって新城の気持ちと重ねてくれたんでしょうね。

 しょうがないですよ、こういう物語を作っていくとすれば、どうしたってサラリーマンをやっている僕の姿がリンクしていく。君塚さんはフリーランス、本広監督もほぼフリーランス、スタッフだってフリーランスが多い。組織にいるのは僕だけ。投影はしないまでも、年齢的にも近いですし寄せやすい。

 「踊る」を作っているときも、室井さんの言っていることを僕は理解できるから面白かった。ルールを本広監督たちがぐちゃぐちゃにする。叱りながらも、責任は取る。でも、数字が良ければ責任は取らなくて済む。ただ、彼らが好き放題やった赤字の責任は取らされるという(笑)。こういう一部始終が、全て作品に乗り移っていくんでしょうね。

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