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【亀山千広氏が語り尽くす、「室井慎次」2部作誕生秘話Vol.2】フジテレビ社長室で亀山千広氏を睨めつけていた室井慎次

映画.com / 2024年12月4日 12時0分

 会社経営もクリエイティブなことかもしれませんが、この12年間、フィクションという意味でのクリエイティブからは最も縁遠い場所にいました。だから劇映画とか見ませんでした。ドキュメンタリーばかり見ていました。

■最大の転機は、役員全員が納得してくれたとき

 ドキュメンタリーといえば、コロナ禍の20年8月に亀山氏がプロデュースしたドキュメンタリー映画「ジャズ喫茶ベイシー Swiftyの譚詩(Ballad)」で、筆者は久々に亀山氏をインタビューしている。「亀山千広さん、ジャズ喫茶で事件は起きていますか?」というタイトルで配信したところ、かなりの反響を得たことは記憶に新しい。

 その取材で、亀山氏は「しばらく別の神経を使ってきたから、純粋にモノ作りをしたい。悔しいかな、この作品に関わったことで、ちょっと火を付けられた」と口にしている。亀山氏の中で、「室井慎次」2部作が自らの“事件”になっていった最大の導火線がどこにあったのか探りたくなった。

 亀山:今までは公開日やオンエア日が決められて、そこを目がけて作ってきたわけです。ただ、「ジャズ喫茶ベイシー」も、「室井慎次」2部作も、公開日や発表するデバイスすら自分たちで選べるんじゃないか、つまり、公開日や放送枠などが決められているわけではなかったので、1年かかろうが2年かかろうができると思っていたんです。感覚としては、小説を作っているのと同じで、編集者(亀山氏)と作家(君塚)としての作業が続いていきました。この小説を作るような1年間があったおかげで、感覚が随分戻ってきた気がします。

 編集者の作業としては、作家の意図を汲んで書かれている物語を理論的に説明していかなければならない。本当は座組みを作って若いプロデューサーに「はい、作って!」と託すだけで済むのかなと思っていたんですが、どうやらそうはいかないぞ…という展開になってきた。しまいには監督に「俺がずっとそばにいるからやろうよ」と言っていた。女性に向かって「大丈夫だよ、僕がいるから」みたいなことを言って、冗談じゃないですよ(笑)。監督も「本当に現場に来るんでしょうね!」なんて念押ししてくるし、言うに事欠いて僕の最後の作品だなんて言っちゃうんですから(笑)。

 僕にとっての転機は、BSフジの役員会のあとに「実は動いている。うちも出資することになると思う。社業になるけれど、僕が現場のプロデューサーをやることになると思う。定例の会議には絶対に出るけれど、遠方のロケへ行くと携帯の電波が繋がらなかったりするかもしれない。なるべく土日を挟んで行くようにするけど、いいですか?」と常勤の役員に了解を取ったときかな。監査役にも、社長が社業にもかかわらずプロデューサーをやって会社を空けることに関する理論武装をしたいのですが、どうしたらいいですか?と相談もしました。そしてスイッチが入ったのは、「分かりました。よろしくお願いします」と役員全員が納得してくれたときでしょうね。

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