【インタビュー】「ハーメルンの笛吹き男」から着想した「クラブゼロ」 ジェシカ・ハウスナー監督が紡いだ「操ることについての物語」
映画.com / 2024年12月5日 13時0分
やはりおとぎ話には興味があって、ヨーロッパの作品は道徳に訴える、「こういう風に振る舞うべきだ」というものが多いんです。簡単にいえば、「こういう振る舞いが理想とされていて、そうでなければ罰せられる」というモラルをもった物語ですね。私はそこにもうひとひねり加えたい、と考えたんです。
そもそも道徳の物語というのは、いままでも社会のなかで実際に通用していたかは分からず、少なくとも現代では、全く通用しなくなっています。良いことをしていても罰せられることはある。それほどいまの時代は複雑で、かつてほどシンプルではない。いろんな真実が共存している。ジャンクな大量の情報から、本当の真実を見極めることは難しい。私たちはそういう世界に生きているので、プラスアルファの要素を付け加えて、物語を作り上げました。
――ミア・ワシコウスカさん演じるノヴァクを作り上げるにあたり、カルト教団の元信者たちに取材をすることで、指導者像を明確にしたそうですね。例えば、ノヴァクが生徒たちに対して、成長のステージを設定する描写などが印象的でした。彼女のキャラクター像は、どのような意図をもって作り上げたのでしょうか。
カルト教団のリーダーにはサイコパス系の方もいれば、本当に心から自分の教義を信じている方もいらっしゃいます。ノヴァクの場合は、後者にした方が面白いと思いました。あとはイメージとして聖人のことを調べると、かなり過激なバックストーリーをもっている方も多いですよね。何かを信じて、それが行き過ぎるというような。そんなイメージも、ノヴァクのキャラクターに反映しました。
ミアがノヴァクを演じる時、演技のなかで、子どもたちを操るような怪しい雰囲気を醸し出したことがあったんです。そのときに、私は「そうではなくて、ノヴァクは完全に自分の教義を信じていて、子どもたちのためにも良いことだと心から思っているので、怪しい雰囲気を出す必要はない」という演出をしました。ノヴァクは、自分自身は良い人間で、良い行いをしていると信じているけれど、周囲から見ると、人を傷付けかねないことをしているんです。
何かを信じ始めて、それが行き過ぎてしまうのは、子どもであれ大人であれ、誰にでも起こり得るということを見せたかったんです。特に若い人の方が、こういったものに囚われやすいということも表現しました。
――ノヴァクは、子どもたちの求めているものをすぐに見抜き、「それを手に入れるためには、こういう手段がある」と導いていくところが恐ろしいと感じました。ハウスナー監督が自らオファーされたというワシコウスカさんとのタッグの感想や、素晴らしかった点について、教えてください。
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