「天保十二年のシェイクスピア」で浦井健治の挑む醜い悪党が「まるで無理しなくていい役だった」という衝撃!【若林ゆり 舞台.com】
映画.com / 2024年12月10日 10時0分
「悪いやつだけど、哀れな人物だと思います。そうなるしかなかった。その時代の底辺みたいなところから育っていて、親が無宿人だったからほかの道はなく、無宿者として生きていたら無宿人狩りにあって人足寄場(※江戸幕府が作った自立支援のための収容所)に送られ、そこから逃げて『捕まったら、死ぬ』というところからスタートしている。だから死がいつも目の前にあって、『何をしたってもう死ぬんだったらやってやろう』みたいなスタンスなんですね。だから強いんです」
前回演じた「きじるしの王次」では「ミュージカル界の王子」と言われる持ち前の個性を生かしつつ、匂い立つような色気と人間くささを鮮烈に打ち出し、新境地を拓いた浦井。だが今回の三世次は、さらに強烈なキャラクターであり、間違いなく「いままでに見たことのない浦井健治」が見られるはず。本人にとっても、新たな発見があるのでは?
「そうですね、でも、この役は思うよりも無理をする役ではまったくなかったんです。自分でも不思議なほど、『演じている感』はないというか。三世次に共感していると言ったらたぶん、人から信用されなくなると思うんですけど(笑)。でも、一生さんの三世次を見ていて思ったのは、すごく傷ついてきた人であって、そこに原動力の源があるということ。そこは理解できる」
「きっと自覚無自覚はあるにせよ、実は誰もが三世次を持っていて、理性でセーブして生きているんじゃないか。だからか、無理している感覚がまったくなくて、逆に『自分を解放している感』があったりする。劣等感だとか傷ついてきただとか、幼少期も含めて同情したくなる背景が描かれていて。でも、同情の余地がないようなことをするから、同情してしまった自分にハッとして恥じたりもする。リチャード三世という役は、演劇界で愛され続ける役、役者なら誰もがやりたいと憧れる役と言われていますが、そのなぜかを今まさに感じています」
三世次は双子のお光、おさち(唯月ふうか)に恋をする。自分が醜い外見だから愛を諦めてきた彼だが、諦めきれずに「自分も愛されるかもしれない」ともがく姿も一瞬、同情を呼ぶ。
「三世次の愛というのは、彼がやることを思えば絶対に純愛ではない。ただの自分のエゴというか、身勝手な欲望というか。それは許されることではないんですよ。そう考えると、この人に愛はあったのか疑問です。人をものとしか思ってないというか、つまりは自分がものとしてしか扱われてこなかった哀れさというか。幼少時代に何の愛も得られなかったから愛を知らない、そういう人物だと思います」
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