2024年の中国映画市場における日本映画は大ヒット? それとも……? アニメと実写で明暗分かれる【アジア映画コラム】
映画.com / 2024年12月21日 16時0分
今年のTIFFCOMには、昨年中国で「すずめの戸締まり」「THE FIRST SLAM DUNK」を大ヒットさせ、今年も「劇場版 SPY×FAMILY CODE: White」「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」などの日本アニメ映画を多く配給した「Road Pictures」グループがセミナーを開催。代表の蔡公明氏が、中国映画市場、中国二次元市場の現状をはじめ、「Road Pictures」が配給した日本アニメ映画の成功事例、そして、中国における2次元IPのブランド強化など、90分に渡って、丁寧に細かく説明していました。日本の映画会社の関係者、中国配給会社の関係者、各国の記者など多く参加し、会場は非常に盛り上がりました。
近年、日本アニメ作品は中国での影響力がどんどん強まっているので、今後さらなる発展が見込めそうです。ちなみに、これは決して簡単なことではありません。中国市場は非常に特別な市場。海賊版の影響が常にあり、時々“予想外”のことが起こったりします。“海外作品のブランド”がここまでのポジションを築けたのは、日本アニメの高いクオリティのほか、日本の制作側、そして中国の配給側の努力がないとできないことです。
一方、日本の実写映画はどうでしょうか?
2024年現在、中国における日本実写映画の歴代興収1位は、是枝裕和監督の「万引き家族」です。2018年に公開されて以来、不動の1位として君臨し続けています。
是枝監督は、中国国内でも最も人気な監督として知られています。かつて中国で日本映画がなかなか公開されていないときでも、是枝作品のほとんどは映画祭で披露され、ご本人も中国に足を運び、映画ファンと交流していました。「そして父になる」は12年前の作品ですが、多くの映画ファンが“劇場でもう一度観たい”と熱望していた作品です。
ただ、市場と興収の視点から見ると、メジャーエンタメ作品ではない是枝作品が、ずっと“中国における日本実写映画の興収1位”の地位にいるのは、何かもの足りないと思ってしまうのも事実です。
現時点で日本国内での“実写映画年間興収No.1”を記録した「ラストマイル」は、中国では11月9日に公開されました。日本での公開は8月23日でしたから、日本の実写映画としては異例のスピード感です。
では、興収はどうだったのでしょうか。小規模公開が続いていますが、現時点の興収は688万元(約1.4億円)。今年中国で公開された日本映画のなかでは16位という残念な結果。なぜここまで低い数字になっているのでしょうか? 口コミは決して悪くないですが、ほかに何か問題があるのではないかと思います。
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